新闻正文
ベッコフオートメーション(本社:ドイツ・フェアル)の製品および技術は、世界各国のさまざまな産業分野で幅広く活用されています。今回は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のウォータープラザにて上演されたマルチメディア水上ショー「アオと夜の虹のパレード(Under the Midnight Rainbow)」における舞台制御および安全統合制御の導入事例をご紹介します。制作を手がけた仏ECA2社およびステージ制御を専門とする英db Show Control & Automation社は、ベッコフのオープンなPC制御技術とEtherCATを採用し、広大な水域に配置された300基の噴水や30基の炎エフェクト、映像、音響、環境センサー監視を単一のプラットフォームで統合。会期中延べ約200万人の観客を魅了する壮大な水上スペクタクルを支えました。
PC制御が演出を担うマルチメディア水上ショー 「アオと夜の虹のパレード(Under the Midnight Rainbow)」は、大阪万博2025で毎夜、最大2,500人の観客を魅了しました。
8,800平方メートルの広大な水域で繰り広げられた壮大な水上スペクタクル
大阪・関西万博のフィナーレを飾った「アオと夜の虹のパレード」は、8,800平方メートルにわたるウォータープラザを舞台に、毎夜最大2,500人の観客を集めた大規模な水上ショーです。会場には直線噴水280基、ダイナミックな動きを実現する3D噴水8基、巨大ウォータースクリーン2面、カスケードスクリーン1面、炎エフェクト30基に加え、フォグマシンやプロジェクションマッピング、音響システムが配置されました。こうした屋外での大規模演出を成功させる鍵は、関連するすべての演出効果をリアルタイムに把握し、風速や温度、水深など、刻々と変わる環境条件を考慮して確実に制御することにあります。従来の構成では、ショーを再生するための制御系統とセンサー・アクチュエーターの制御系統が個別に管理されることが多く、インターフェースの遅延や設計工数の増大が課題となっていました。
産業用オートメーションとエンターテインメント専用プロトコルの融合
本プロジェクトでは、制御の中核を担うショーコントローラーとしてベッコフの組込み型PC「CX5240」を採用しました。会場各所に分散配置された11台の制御ラックとEtherCATカプラ「EK1100」により、約300台の可変周波数ドライブ(インバータ)をEtherCAT経由で高速・高精度に同期制御しました。また、TwinCATのオープン性を活かし、エンターテインメント業界で標準的に用いられるArt-Net、DMX、sACN、Q-SYSオーディオシステム、およびIT標準のTCP/IP通信を単一のプラットフォームに統合。産業用途のハードウェア上でこれらの多彩なプロトコルを連携させ、オートメーションとITが一体化したアーキテクチャを確立しました。
また、安全対策にもベッコフの制御技術を活用しています。 TwinSAFEターミナル「EL1918」を導入し、EtherCATの安全通信「FSoE」により、追加の並列配線を行うことなく非常停止回路や炎エフェクトの制御を一元管理しました。センサーが突風などを検知した際には、関連する噴水ドライブを瞬時に停止させる、あるいは炎の演出を自動で制限するなど、高度な演出と安全対策の両立を図りました。
数百台ものドライブをリアルタイム制御しながら、映像・音響システムとも連携する制御コンソール。制御の中核を担う組込み型PC「CX5240」。
手のひらサイズの超小型産業用PC「C6017」が実現した革新的な収録・再生システム
システムの大きな特長の一つが、TwinCATを基盤に構築された独自の収録・再生プラットフォームです。通常、複雑なDMXの収録や音声同期には大型の専用サーバーラックが必要とされますが、本プロジェクトでは手のひらサイズの超小型産業用PC「C6017」を2台(マスターおよびバックアップ)で構成しています。これにより、省スペース化とハードウェアコストの大幅な削減を達成しました。現地のオペレーターは、マルチタッチコントロールパネル「CP2907」とTwinCAT HMIで構築されたインターフェースを通じて、すべてのセンサー・システムデータに加え、安全回路の状態も一元的に管理できました。
コントロールパネル「CP2907」により、オペレーターは、センサーデータに加え、安全回路の状態も一元的に把握できます。
エンターテインメント分野におけるオープンなPC制御技術の真価
万博の全会期を通じて約200万人を動員する過密なスケジュールの中、「アオと夜の虹のパレード」は進行を妨げる技術トラブルを一度も起こすことなく完遂されました。ベッコフの産業用ハードウェアの堅牢性と、万全の冗長化・安全対策、そしてITとオートメーションを融合させた高度なシステム運用が、屋外の水上という過酷な環境下での安定稼働を支えました。産業グレードの高い信頼性とエンターテインメント専用プロトコルへの柔軟な適応力を兼ね備えたベッコフのPC制御技術は、大規模なステージを支える自動化プラットフォームとして、その真価を実証しました。
参考URL:
■ 事例記事全文:https://www.beckhoff.com/ja-jp/company/applications-and-references/spectacular-multimedia-water-show-networked-in-real-time-with-pc-based-control.html
■ 制作(ECA2): www.eca2.com
■ ステージ制御設計(db Show Control & Automation): www.davidbirchall.com
ベッコフオートメーション 会社概要
ベッコフオートメーションはPC制御に特化した制御機器メーカーです。独自の計測・制御ソフトウェア「TwinCAT」により、Windowsなどの汎用OSを搭載した産業用PCをリアルタイムコントローラ(NCやPLCなど)として活用することが可能です。また、高速・高同期の産業用通信規格「EtherCAT」の開発元でもあり、その推進団体であるEtherCAT Technology Group(ETG)は76カ国・地域の8,100以上の組織が参加する世界最大の産業用通信規格推進団体として知られています。TwinCATやEtherCATを搭載した産業用コントローラは、産業用ロボット・自動車・包装機械・工作機械・風力発電設備など、世界中の多様なアプリケーションで採用されています。
https://www.beckhoff.com/ja-jp/
(本リリースは、ドイツ・フェアル本社にて発行された機関誌「PCコントロール 2026年 エンターテインメント業界 特別号」に掲載された記事の抄訳です。)