新聞正文
株式会社あるやうむは、2026年10月10日から13日まで、岐阜県飛騨市で地域おこし協力隊の合同研修「DAOマネサミット2026」を開催しました。参加したのは、全国の自治体で関係人口づくりに取り組むDAOマネージャーとサポーター、約20名。
関係人口づくりというと、「外からどれだけ人を呼べるか」に目が向きがちです。しかし、飛騨市ファンクラブや「ヒダスケ!」で知られる飛騨市で4日間を過ごし、見えてきたのは別のこと。関係人口を活かすのは、まちを愛する地域の人たち、つまり「地域の土台」だということでした。
この記事では、隊員たちが飛騨市で何を体験し、仕組みをつくってきた3人から何を学んだのかを紹介します。あなたの地域の「土台」は何か。関係人口づくりに関わる自治体の方や、地域おこし協力隊の方が、そんなことを考えるきっかけになればと思います。
DAOマネサミット2026とは
開催日:2026年10月10日(土)〜13日(火)
会場:岐阜県飛騨市(古川町・神岡町ほか)
主催:株式会社あるやうむ
参加者:地域おこし協力隊として活動するDAOマネージャー、DAOサポーター 約20名
講師:齋藤 由宏さん(一般社団法人 飛騨市観光協会 事務局長)、ながいしともきさん(ヒダスケ!事務局 コーディネーター)、上田 昌子さん(岐阜県飛騨市 総合政策課 広報プロモーション係 主査)
DAOマネサミットは、あるやうむが支援する地域おこし協力隊(DAOマネージャー)が、年に一度集まる合同研修です。2024年に北海道余市町で始まった取り組みは、今では全国20以上の地域に広がりました。普段はオンラインでやりとりしている隊員たちにとって、顔を合わせて学び、語り合える4日間。
今回の研修には、4つの目的がありました。
「本物の人」から直接学ぶ:関係人口づくりを積み重ねてきた当事者から、成功だけでなく試行錯誤の話も聞く
異なる2つの実践から学ぶ:ファンを起点にする「飛騨市ファンクラブ」と、困りごとを入口にする「ヒダスケ!」を比べながら学ぶ
「3年後」を意識する:つながりは時間をかけて育つもの。短期の成果にとらわれず、自分と地域の3年後を考える
対話で学びを定着させる:気づきを仲間と言葉にし、自分の地域で試したいことにつなげる
なぜ飛騨市だったのか
会場に飛騨市を選んだ理由について、あるやうむ地域おこし協力隊統括の水上(みづ)はこう話します。
「先輩である飛騨市の取り組みを参考にしていたこともあり、今回は前回より人数を集めて勉強に行きたい、というきっかけで飛騨に決めました」
あるやうむ隊員サポーターの浦田(とまたろう)は、研修の組み立て方をこう振り返りました。
「関係人口の創出に成功している『ヒダスケ!』を現場で体験し、仕組みの本質を学ぶために飛騨市で開きました。顧客として体験すること、主催者の話を聞くこと、DAOマネ同士の交流、ディスカッション。この4つを通じて咀嚼してもらい、自分の地域の活動に落とし込めるようにスケジュールを組みました」
代表の畠中にとっても、今回は「初めて狙いを持ったサミット」。最終日の講演の冒頭では「皆さんのいい取り組みを、水道管のように全国に広げたい」と、飛騨市の学びを全国の地域に持ち帰る思いを語りました。
人口減少の「先進地」が選んだ道
飛騨市の人口は、2020年の国勢調査で22,556人。2045年には13,585人になると推計されています。全国の3倍のスピードで人口が減り、高齢化率は40%を超え、日本の30年後の数字をすでに上回っています。
「人口減少を止める、緩やかにする、というフェーズはもう終えています」
飛騨市役所の上田昌子さんは、講演でこう話しました。真正面から人口減少を受け止めたうえで、生まれてくる課題にどう向き合うか。それが飛騨市の考え方です。
上田さんが一番怖いと話したのは、担い手不足そのものではなく、住民の「精神的な不安」。「この町は大丈夫なんだろうか」という空気が広がると、町への愛着が薄れ、人が出ていく。10年前には「この町はなんもないで、戻って来んでいい」と子どもに言う大人もいたそうです。
その悪循環を断ち切る打ち手の一つとして、飛騨市が選んだのが関係人口。ただし上田さんは「関係人口を増やすことは、事業の目的ではない」と言い切ります。目的は、市民が「飛騨市に住んでいてよかった」と思える町をつくること。人口が減っても、市民と外の人が支え合う文化をつくることにあります。
飛騨市を訪れた人へのアンケートでは、町の魅力の1位が「町の元気と優しさ」、2位が「関係人口の取り組み」。観光の名所よりも、人と、人と関われる仕組みが選ばれています。
飛騨市ファンクラブとヒダスケ! 関わり方の違う2つの入口
3日目午後の講演の様子
飛騨市の関係人口づくりには、2つの柱があります。ファンを起点に関わりを育てる「飛騨市ファンクラブ」と、困りごとを入口にする「ヒダスケ!」です。
飛騨市ファンクラブ:まず「誰が来ているか」を知る
飛騨市ファンクラブは2017年に始まりました。きっかけは、映画「君の名は。」の聖地巡礼です。全国から大勢の人が訪れているのに、どこの誰が、何のために来ているのかがわからない。そこで、町に関わる人を「見える化」し、市が直接やりとりできる、いわばファンの名簿をつくろうと考えたそうです。
担当になった上田さんに、市長が出したミッションは「人口2万人の町で、1年で会員1,000人」。予算はゼロでした。上田さんは同僚を巻き込み、市長不在の市長室を「ハイジャック」する動画をSNSで発信。それが話題になり、NHKやCBCテレビでの露出に成功し、3か月で1,000人を突破しました。会員証が足りなくなり、市長と一緒に「謝罪会見」を開いて、また話題になったという話には、会場から笑いが起きました。
入会費・年会費は無料で、会員数は19,367名(2026年10月1日時点、飛騨市公式サイトより)。会員向けの特典などの財源は、会員からのふるさと納税を活用しています。
ヒダスケ!:困りごとを、楽しい交流に
ヒダスケ!は2020年に始まりました。飛騨市民が「ヌシ」となって、畑仕事や祭りの準備といった困りごと、やってみたいことをプログラムにし、手伝う人を募る仕組みです。お返しは、地域の電子通貨「さるぼぼコイン」500円分と、ヌシごとの「オカエシ」。
これまでに開かれたプログラムは約500回。公式サイトで紹介されている「現在のヒダスケ!人数」は7,420名(2026年10月時点)。種蔵集落では953㎡のみょうが畑がよみがえり、古川祭では、市内の屋台組9組のうち6組がヒダスケ!を使うまでになっています。
では、なぜ祭りの人たちはヒダスケ!を使うようになったのか。2020年、上田さんがチラシを持って祭りのリーダーを訪ねると「自分たちの祭りだから、外の人はいらん」と断られました。上田さんが選んだのは、押さずに「必要になったら、いつでも使えます」とだけ伝えて引くこと。6年がたち、担い手不足のなかで「外の人の力を借りてでも祭りを守りたい」と考える人が増えました。
ヒダスケ!事務局のながいしともきさんは、プログラムづくりの工夫を2つ教えてくれました。
「困りごとはありますか?」とは聞かない:聞いても草刈りくらいしか出てこない。普段の雑談の中から、困りごとややりたいことを切り取ってプログラムにする
人が集まらないと成り立たない企画は作らない:誰も来なくてもヌシがやる作業に、助っ人が加わって「助かった」になる形にする
劇団員を4人募集して1人も集まらなかった失敗から生まれた、という2つ目の工夫には、多くの隊員がうなずいていました。
「ファンクラブが先、ヒダスケ!は後」
注目されがちなのはヒダスケ!ですが、上田さんは「ヒダスケ!から始めても、絶対うまくいかない」と話します。ヒダスケ!の最初の参加者も、ファンクラブの会員への呼びかけで集まった人たち。呼びかける先がないままヒダスケ!だけをつくると、「求人票だけあって、どこに広めればいいかわからない状態」になってしまう、というのです。
上田さんは、記事のためにこんな言葉を寄せてくれました。
「関係人口づくりで本当に大切なのは、イベントの参加人数や数字の規模ではなく、『目の前の一人とどれだけ居心地の良いつながりを作れるか』だと思っています。単発の企画で終わらせるのではなく、『あの人にまた会いに行きたい』『あの地域のために自分も何かしたいな』と思ってもらえるような、息の長いファンや仲間を少しずつ増やしていく視点を大切にしてほしい、という思いでお話しさせていただきました」
関係人口を活かすのは「地域の土台」
古川の町並み
外の人とつながる仕組みがあっても、受け入れる地域の側に力がなければ、関係は長続きしません。この点を正面から語ったのが、飛騨市観光協会の齋藤由宏さんです。
齋藤さんが率いる観光協会の考え方は、「まちづくり>観光誘客」。「市民に愛される町をつくれば、お客様に愛される町になる」と話し、業務の9割をまちづくりに充てているといいます。
「ヒダスケ!を使えば使うほど、外の力と同時に、地域の力を高めることが大切だと感じています」
その言葉どおり、観光協会では子どもたちと町の人を巻き込んだ取り組みを続けてきました。
盆踊りの復活:一度なくなった盆踊りを、民謡保存会の60〜90代と古川中学校の生徒が主役になって復活。来場者は3,000人から4,000人に増えた
瀬戸川のコイの引っ越し:冬に流雪溝になる瀬戸川から、1,192匹のコイを中学生・ヒダスケ!の参加者・市民で引っ越しさせる
きつね火まつり:市民や企業、地元のチームが参加し、来場者は2万人。出店の売上は例年の1.5倍になった
齋藤さんの資料には、こんな一文があります。「まちの原動力はまちを愛する気持ち。まち愛は関係人口を活かす地域の土台」。
街歩きで齋藤さんは、古川の一番の観光資源は「町の人」だと話していました。祭りを「命」と言うお年寄り、志願して獅子舞を担う男子高校生、毎日交代で瀬戸川を掃除する町内会。町の人が町を大事にしているからこそ、外から来た人もその輪に入りたくなる。隊員たちは、そのことを肌で感じていました。
齋藤さんの案内で、古川の町を歩く
齋藤さんからは、こんなコメントをいただいています。
「関係人口づくりで大切なのは、外から人を呼ぶことだけでなく、まず地域の人たちが自分たちの町に関心を持ち、主体的に関わることだと考えています。今回、隊員の皆さんから学校や行政、市民との連携について多くの質問をいただき、人と人との信頼関係が地域づくりの土台になることを改めて感じました。全国の隊員の皆さんにも、地域の人と一緒に汗をかき、人と人をつなぐ存在になっていただければと思います」
ながいしさんも、同じことを別の角度から語っています。
「関係人口というと、地域外から人を呼び込もう、何かしてもらおうという意識が強いところが多いかと思います。ただ、住民に受け入れる意識がなければ、地域外から人が来てもすぐに離れてしまったり、一時的になってしまって、深い関係性が作りづらいかと思います。まずは、何かの取り組みや活動を通して、住民が地域外の人たちと協力してやっていく意義を認識していってもらうことが大切になってくると思います」
4日間で体験したこと
4日間には、それぞれテーマがありました。「出会う」「体験する」「深める」「持ち帰る」です。
1日目(10月10日)出会う
1日目のウェルカムディナー。一人ずつ自己紹介をしました
道の駅アルプ飛騨古川に集合し、夜はウェルカムディナー。一人2分ずつ、自分の地域と今取り組んでいることを紹介しました。続いて、みづととまたろうが30分のミニ講義を行い、翌日から体験するヒダスケ!やさるぼぼコインの仕組みを、事前に学びました。
2日目(10月11日)体験する
普段は入れない空堀に入り、舗装を手で塗り直す
午前は、ヒダスケ!のプログラム「江馬氏館跡のお堀を直そう」に、隊員が参加者として加わりました。江馬氏館跡は、約500年前にこの地を治めた江馬氏の館の跡。国の史跡と名勝に指定されています。普段は柵の中に入れない空堀に入り、崩れてきた舗装を、土を練って手で塗り直しました。
文化財の保護にヒダスケ!を使うのは、飛騨市でも新しい試み。毎年参加している人からは「普段入れない文化財の中に入って、自分が直したと実感できる」「去年直したところがどうなったか気になって、今年も来た」という声が聞かれました。
補修を終えた江馬氏館跡の空堀
午後は神岡町を歩きました。地元の方の案内で学んだのは、鉱山で栄えた町の歴史と、スーパーカミオカンデのある「宇宙の町」としての今の姿。
3日目(10月12日)深める
飛騨古川まつり会館で、古川祭の話を聞く
午前は齋藤さんの案内で古川の町を歩き、飛騨古川まつり会館、瀬戸川と白壁土蔵街、酒蔵を巡りました。祭りの担い手の話や、町の中でお金が回る仕組みの話に、隊員たちは何度もメモを取っていました。
午後は、齋藤さんとながいしさんの講演。後半のワークショップでは、3つのチームに分かれ、実際のヒダスケ!の募集ページを見ながら「なぜこのプログラムに人が集まったのか」を分析しました。
お米の収穫:大型機械に触れる非日常感。3時間で終わり、午後は観光や温泉に行ける
雑草ハンター:役割名がキャッチーで、約2時間と短い。お土産で親子どちらにもうれしい
瀬戸川のコイの引っ越し:ほかでは味わえない体験。冷えた体に、お返しの温泉券がうれしい
ワークショップで、ヒダスケ!の募集ページを分析する隊員たち
チームの中からは「主役にはなれなくても、エキストラとして支えたい気持ちに応えている」という声も出ました。ながいしさんは、時間はできるだけ短くすること、募集ページはタイトルと写真で判断されることなど、設計の細かな工夫を補足してくれました。
講演でいちばん伝えたかったこととして、ながいしさんが寄せてくれた言葉がこちら。
「自分の街はあれがダメこれがダメと言っていても何も変わらなく、物事も動かないと思います。それぞれの街でそれぞれの特性に合わせてやれる形を小さくたくさん模索し続けることが大切です。今やれることを探して、やれることをたくさんやっていくと、やれなかったことも自然と動いていくこともあると思います」
夜はバーベキューを囲み、一人ずつ「今回のサミットで感じたこと」と「3年後どうしていたいか」を話しました(隊員一人ひとりの言葉は、別の記事で紹介します)。
4日目(10月13日)持ち帰る
4日目、飛騨市役所での上田さんの講演
最終日は飛騨市役所で、上田さんの講演を聞きました。ファンクラブとヒダスケ!がどう生まれ、どうつながってきたのか。10年分の歩みを聞いたあと、質疑の時間には隊員から次々と手が挙がりました。
「3年の任期で成果を出すには?」という隊員の質問に、上田さんは「私の感覚では2年」と答えています。最初の2年で走り、その間に自分がいなくなっても続けられる形をつくる。協力隊の3年間を考えるうえで、多くの隊員が持ち帰った言葉でした。
サポーターから見たサミット
研修の全体統括を担ったのは、みづ。関係者との調整、宿泊や移動の手配、プログラムの企画から現地の運営、終了後のアンケートや次回に向けた振り返りまでを担当しました。とまたろうは、隊員の送り迎えやバーベキューの準備、グループワークの進行など、現地での調整を担いました。
みづは、4日間をこう振り返ります。
「年齢、着任年数、経験、活動内容が違う皆さんが一つの研修会にそろって参加し、共同作業できたことは、オンラインではできない経験です。対面での会話や行動が、オンラインでも円滑に交流できるようなきっかけになっていると思うので、サミットは隊員にとっても、あるやうむにとっても必要な一大行事だと感じています」
とまたろうは、隊員の姿をこう見ていました。
「隊員さんの学びに対する意識の高さを感じました。それぞれが地域活動の課題を言葉にし、飛騨市の取り組みから解決策を見いだそうと考えている姿が印象的でした」
サミットを終えて
講師の上田さんは、隊員との質疑や交流をこう振り返っています。
「質疑応答や交流会では、『地域の方と外の人をどうつなげばスムーズか』『地域の中でどう自分のやりたいことを実現していくか』『自分の任期が終わった後も残る仕組みをどう作るか』といった、現場で泥臭く悩んでいるからこその具体的な質問がたくさんあり、私も改めて自分の仕事の仕方や歩みを振り返る良い機会になりました」
飛騨市の取り組みは、10年近い試行錯誤の積み重ね。そのまま真似できるものではないかもしれません。それでも齋藤さんが話していた「まず地域を知る、人を知る」「地域の人と一緒に動く」「その日常や頑張りを発信する」という3つは、どの地域の隊員にも持ち帰れるヒント。
あるやうむは今後も、全国の地域おこし協力隊とともに、それぞれの地域の「土台」を育てる関係人口づくりを続けていきます。
あるやうむで地域おこし協力隊になりませんか
あるやうむは、全国の自治体と連携し、地域おこし協力隊(DAOマネージャー)の募集・選定から、着任中のサポートまでを支援しています。今回のサミットのように、全国の仲間と学び合える場も用意しています。
「自分も協力隊として地域に関わってみたい」と思った方は、ぜひお問い合わせください。
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▼ DAOへの参加リンクはこちら|どなたでも気軽に参加できます。
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株式会社あるやうむについて
DAOやNFTによる地方創生を推進するため、全国の自治体向けにふるさと納税NFT/観光NFT/地域おこし協力隊DAOソリューションを提供する札幌発のスタートアップ。
地域の魅力をのせたNFTをふるさと納税の返礼品とすることや、地域でDAOを運営することを通じて、新たな財源を創出すると共に、シティプロモーションや関係人口の創出に繋げます。
社名「あるやうむ」はアラビア語で今日を意味する言葉。今日、いますぐチャレンジをしたい自治体・地域の皆様にNFTという先端技術を提供し、応援され続ける地域づくりを支援します。
株式会社あるやうむ 会社情報
会社名 :株式会社あるやうむ
代表者 :畠中 博晶
所在地 :札幌市北区北38条西6丁目2番23 カトラン麻生302号室
設立 :2020年11月18日
資本金 :1億6449万円(資本準備金含む)
事業内容 :NFTを活用した地方創生コンサルティング・開発
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