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経済・物価情勢の展望(10月、基本的見解)

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TL;DR · これは何を意味する?

2026 年 10 月 30 日

(原文リードからの抜粋・要約ではありません)

ニュース本文

2026 年 10 月 30 日 日 本 銀 行

経済・物価情勢の展望(2026 年 10 月) 【基本的見解】 1 <概要>

⚫ 先行きのわが国経済を展望すると、2026 年度については、中東情勢の影響を受けた春 先以降のエネルギー・原材料価格の上昇が下押し要因となるものの、グローバルなAI 関連需要の増加に加え、政府による各種施策や緩和的な金融環境等が経済を下支えする と考えられるため、わが国経済は、伸び率を縮小しつつも、緩やかな成長を続けるとみ られる。2027 年度以降は、エネルギー・原材料高のマイナスの影響が減衰し、所得から 支出への前向きな循環メカニズムが徐々に強まっていくことから、わが国経済は成長率 を緩やかに高めていくと考えられる。

⚫ 物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、賃金上昇を販売価 格に転嫁する動きが続くもとで、原油価格上昇がエネルギーや財を中心に価格を押し上げ るほか、グローバルなAI関連需要の増加に伴う半導体価格等の上昇やこれまでの為替円 安が耐久財等の価格上昇につながることから、2%をはっきりと上回る水準まで伸び率を 高めていくと予想される。その後、見通し期間後半には、原油高の影響が減衰していくも とで、2%程度に向けてプラス幅を縮小していくと考えられる。この間、人手不足感の強 い状況が続くなかで、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズム が働いており、中長期的な予想物価上昇率は2%程度となっている。こうしたもとで、消 費者物価の基調的な上昇率は2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準となっており、 先行きも同程度で推移すると考えられる。

⚫ 前回の見通しと比べると、成長率は概ね不変である。消費者物価(除く生鮮食品)の前 年比は、夏場以降の原油価格上昇の影響等から 2027 年度が幾分上振れている。

⚫ リスク要因としては様々なものがあるが、中東情勢やAI関連需要の拡大、為替相場の 変動などが、わが国の経済・物価に及ぼす影響には、引き続き留意が必要である。

⚫ リスクバランスをみると、経済の見通しについては、概ねバランスしている。消費者物 価の見通しについては、上振れリスクの方が大きい。基調的な物価上昇率が2%の「物 価安定の目標」と概ね整合的な水準となるなか、企業の賃金・価格設定行動が積極化し ていることや様々な物価上振れ要因を踏まえると、中長期的な予想物価上昇率が上昇し、 基調的な物価上昇率が2%の「物価安定の目標」を超えて上振れていくリスクがある。 こうしたリスクが顕在化し、それがその後の経済に悪影響を及ぼすことがないよう、十 分に留意する必要がある。

1 本基本的見解は、10 月 29、30 日開催の政策委員会・金融政策決定会合で決定されたものであ る。

1 1.わが国の経済・物価の現状

わが国の景気は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、 緩やかに回復している。海外経済は、一部に弱めの動きもみられるが、総じて みれば緩やかに成長している。輸出は、グローバルなAI関連需要の堅調な増 加を背景に、緩やかに増加している。また、企業収益は高水準で推移しており、 業況感も一段と良好な水準となっている。こうしたもとで、設備投資は、建設 コスト上昇の影響を受けつつも、緩やかな増加傾向にある。個人消費は、物価 上昇などの影響を受けつつも、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移して いる。住宅投資は減少傾向にある。公共投資は横ばい圏内の動きを続けている。 この間、労働需給は、引き締まった状態が続いている。わが国の金融環境は、 緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、 政府によるエネルギー負担緩和策の効果などがみられるものの、賃金上昇の販 売価格への転嫁の動きが続くもとで、輸入物価上昇の影響が現れていることか ら、プラス幅が緩やかに拡大しており、足もとでは2%程度となっている。予 想物価上昇率は、2%程度となっている。

2.わが国の経済・物価の中心的な見通し2

(1)経済の中心的な見通し

先行きのわが国経済を展望すると、2026 年度については、中東情勢の影響 を受けた春先以降のエネルギー・原材料価格の上昇が、交易条件の悪化などを 通じて企業収益や家計の実質所得に対する下押し要因となるものの、グローバ ルなAI関連需要の増加や雇用・所得環境の改善に加えて、政府による各種施 策(エネルギー負担緩和策等)や緩和的な金融環境などが経済を下支えすると 考えられる。こうしたもとで、わが国経済は、伸び率を縮小しつつも、緩やか な成長を続けるとみられる。 すなわち、企業部門をみると、輸出は、中東情勢の影響を受けつつも、グロ ーバルなAI関連需要が裾野の拡大を伴いつつ堅調に増加するもとで、緩やか な増加を続けると見込まれる。企業収益は、原油価格上昇に伴う交易条件悪化

2 各政策委員は、既に決定した政策を前提として、また、先行きの政策運営については、 市場の織り込みを参考にして、見通しを作成している。なお、原油価格(ドバイ原油)に ついては、先物市場の動向などを参考に、1バレル 105 ドル程度を出発点に、見通し期間 の終盤にかけて、70 ドル程度まで下落していくと想定している。

2 の影響を受けつつも、AI関連需要の強さなどを背景に高水準が続くとみられ る。設備投資は、建設コスト上昇の影響を受けつつも、既往案件の受注残を解 消する動きに加え、政府の経済対策や緩和的な金融環境が下支え要因として作 用し、緩やかな増加傾向を維持すると考えられる。 家計部門をみると、雇用面では、労働需給は引き締まった状態が続き、名目 賃金は、前年並みのベースアップが実現するもとで、着実な増加が続くと見込 まれる。個人消費は、賃金の増加や株価上昇による資産効果に加えて、政府に よる各種施策を通じた家計への所得移転が下支え要因となるものの、エネルギ ーを中心とした物価上昇の影響や天候要因から、横ばい圏内の動きになるとみ られる。住宅投資は、住宅価格の上昇や人口動態等を反映して、緩やかな減少 傾向を辿るとみられる。この間、公共投資は横ばい圏内で推移し、政府消費は、 医療・介護費の趨勢的な増加や防衛関連支出の増加などを反映し、緩やかに増 加していくと想定している。 2027 年度以降については、エネルギー・原材料高のマイナスの影響が減衰 し、所得から支出への前向きな循環メカニズムが徐々に強まっていくことから、 わが国経済は成長率を緩やかに高めていくと考えられる。輸出は、中東情勢の 影響が和らぎ、海外経済の緩やかな成長が続くなか、グローバルなAI関連需 要の強さなどにも支えられ、緩やかな増加を続けると考えられる。企業収益は、 原油価格の下落に伴う交易条件の改善や内外需要の増加に支えられて、増益基 調を続けるとみられる。そうしたもとで、設備投資は、人手不足対応の省力化 投資やAI・データセンター関連等の成長分野への投資に加え、貿易構造やサ プライチェーンの変容に適合するための投資案件なども押し上げ要因となり、 増加傾向が続くと考えられる。雇用・所得環境をみると、労働需給は引き締ま った状況が続き、名目賃金は着実な増加が続くとみられる。これに加え、物価 の上昇ペースが徐々に落ち着いていくと見込まれるなか、個人消費は、緩やか な増加基調に復していくとみられる。 こうした見通しを前回の展望レポートにおける見通しと比較すると、見通し 期間を通じて概ね不変となっている。 この間、潜在成長率は、政府による各種の施策の後押しなどもあって、デジ タル化や人的資本投資の進展による生産性の上昇、資本ストックの着実な増加

3 などを背景に、小幅のプラスが続くとみられる3。

(2)物価の中心的な見通し

消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、賃金上昇を販売価格に転嫁する動 きが続くもとで、原油価格上昇がエネルギーや財を中心に価格を押し上げるほ か、グローバルなAI関連需要の増加に伴う半導体価格等の上昇やこれまでの 為替円安が耐久財等の価格上昇につながることから、2%をはっきりと上回る 水準まで伸び率を高めていくと予想される。その後、見通し期間後半には、原 油高の影響が減衰していくもとで、2%程度に向けてプラス幅を縮小していく と考えられる。 この間、人手不足感の強い状況が続くなかで、賃金と物価が相互に参照しな がら緩やかに上昇していくメカニズムが働いており、中長期的な予想物価上昇 率は2%程度となっている。こうしたもとで、消費者物価の基調的な上昇率は 2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準となっており、先行きも同程度 で推移すると考えられる4。こうしたなか、今後は、 「物価安定の目標」の持続 的・安定的な実現という観点から、2%程度の水準での定着度合いを確認して いくことが重要である。 なお、消費者物価(除く生鮮食品)の見通しは、原油価格の動向や政府によ る各種施策の影響も受ける5。原油価格については、先物市場の動向などを参 考に、見通し期間終盤にかけて緩やかに低下していく前提としているが、代替 調達に伴う輸送コスト等の増加を踏まえると、わが国の企業が直面する調達価 格は、国際市況ほどには低下しないと考えられる。政府による施策については、

3 わが国の潜在成長率を、一定の手法で推計すると、足もとでは「0%台半ばから後半」 と計算される。ただし、潜在成長率は、推計手法や今後蓄積されていくデータに左右され るうえ、デジタル化の進展などに伴い生産性や労働供給のトレンドがどのように変化する かといった点を巡る不確実性も高いため、相当の幅をもってみる必要がある。 4 基調的な物価上昇率に関連する各種指標(消費者物価のコア指標、予想物価上昇率、ト レンドインフレ率等)をみると、多くの指標が2%近傍にあることが確認できる。 5 今回の見通しにおいては、現在国会で審議中の飲食料品消費税率の臨時的な引き下げな どとそれに伴う影響は織り込んでいない。本年9月に閣議決定された税制改正大綱を前提 に、税率変更が対象品目すべてにそのまま適用された場合の消費者物価への影響を機械的 に計算すると、2027 年度の消費者物価(除く生鮮食品)の前年比を-1.3%ポイント程度、 消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)の前年比を-1.4%ポイント程度、それぞれ押し 下げるとみられる。そのもとでは、経済に対して、成長率を押し上げる方向に作用する可 能性が高いと考えられるが、その程度については不確実性が高い。

4 燃料油補助金などのエネルギー負担緩和策や教育無償化政策等が行われてお り、2026 年度の消費者物価の前年比を押し下げる方向に作用する。 エネルギー価格の変動の直接的な影響を受けない消費者物価(除く生鮮食 品・エネルギー)の前年比は、原油価格上昇が財を中心に価格を押し上げるこ とに加え、半導体価格等の上昇やこれまでの為替円安が耐久財等の価格上昇に つながることから、2%を超える水準で推移したあと、原油高の影響が減衰し ていくもとでプラス幅を縮小すると見込まれる。 こうした見通しを前回の展望レポートにおける見通しと比較すると、消費者 物価(除く生鮮食品)は、夏場以降の原油価格上昇の影響等から 2027 年度が 幾分上振れている。消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)は、前回の展望 レポートにおける見通しと比較すると、概ね不変である。 物価の基調を規定する主たる要因について点検すると、労働や設備の稼働状 況を表すマクロ的な需給ギャップは、小幅のプラスで推移している。先行きの 需給ギャップは、上記の経済の見通しのもとで、現状程度のプラスが続くと予 想される。この間、女性や高齢者による労働参加の増加ペースの鈍化もあって、 労働需給はマクロ的な需給ギャップ以上に引き締まっている。こうしたもと、 労働集約的な業種を中心に企業が労働の供給制約に直面しつつある状況を踏 まえると、マクロ的な需給ギャップが示唆する以上に、賃金や物価には上昇圧 力がかかりやすくなっているとみられる。 次に、中長期的な予想物価上昇率をみると、2%程度となっている。先行き については、労働需給の引き締まりなどを背景に、企業の積極的な賃金・価格 設定行動が維持されるもとで、予想物価上昇率は現状と概ね同程度の水準で推 移すると考えられる。

3.経済・物価のリスク要因

上記の中心的な経済・物価の見通しに対する上振れないし下振れの可能性 (リスク要因)としては、主に以下の点に注意が必要である。 第1に、中東情勢がわが国経済・物価に及ぼす影響である。中東情勢につい ては、なお不透明な状況が続いており、原油価格は振れの大きい展開が続いて いる。この間の原材料の代替調達の取り組みの進展もあり、サプライチェーン の大規模な混乱が生じ、わが国企業の生産活動に大きな影響をもたらすリスク

5 はこれまでのところ抑制されているが、グローバルな原油供給に対する懸念が 燻り、原油備蓄量の減少もみられるもとで、調達コストの更なる上昇が経済・ 物価に及ぼす影響については、引き続き注意が必要である。実体経済面では、 原油高に伴う原材料等の価格上昇が、企業収益や家計の実質所得を想定以上に 下押しすることがないか、確認していく必要がある。物価面では、原油高を起 点とした企業間取引における価格転嫁の動きのほか、後述するAI関連需要や 為替相場の変動による影響などが、消費者段階の幅広い品目の価格上昇に波及 していく可能性が高い。こうした動きが、中長期の予想物価上昇率の上昇につ ながり、消費者物価の基調的な上昇率が2%の「物価安定の目標」を超えて上 振れていくリスクがある。 第2に、AI関連需要の動向である。AI関連については、その用途の急速 な広がりとともに、グローバルな需要拡大が続いており、旺盛な設備投資が世 界経済を一段と押し上げる可能性がある。一方、投資に見合った形で収益の拡 大が実現しない場合には、資産価格の変動なども伴って、調整圧力が生じる可 能性もある。物価面では、最近の半導体価格の上昇は、関連する耐久財の価格 を押し上げているほか、企業間取引において、銅などの素材価格や機械類の価 格が上昇していることも踏まえると、今後は、消費者段階においても、様々な 品目の価格上昇につながる可能性がある。こうしたAI関連の材料・部品など に対する内外の需要が想定以上に増加した場合には、価格面での上昇圧力が一 段と高まるリスクもある。 第3に、為替相場の変動がわが国の経済・物価に及ぼす影響である。これに ついては様々な経路が考えられるが、為替円安の進行は、グローバル企業の収 益などにプラスの影響を及ぼす一方、輸入物価の上昇などを通じて、家計の実 質所得を下押しするほか、中小企業などの収益にマイナスに作用する面がある。 また、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替 の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面があることや、そうした動き が、予想物価上昇率の変化を通じて基調的な物価上昇率に影響する可能性があ ることにも留意が必要である。この点、夏場以降、為替相場はやや振れの大き な展開となっているが、これまでの為替円安の進行から輸入物価の前年比が高 い伸びを続けていることは、先行き、耐久財をはじめとした幅広い品目の価格 を押し上げる方向に作用すると考えられ、その影響を十分注視する必要がある。

6 このほか、内外の経済・物価動向に関するリスク要因として、以下のような ものがある。すなわち、世界的にインフレ圧力が高まるなか、夏場以降、米欧 を含む多くの中央銀行は利上げ方向に政策を転換しており、こうしたグローバ ルな金融環境の変化が、国際金融市場等を通じてわが国の経済・物価に及ぼす 影響には留意が必要である。また、グローバルな財政拡張的な動きが、世界経 済・物価や金融市場に及ぼす影響にも留意する必要がある。中国経済について は、不動産市場や労働市場における調整圧力が続くなか、先行きの成長ペース を巡る不確実性は引き続き高いほか、一部の財における供給能力の過剰が世界 経済・物価に及ぼす影響についても注意を払う必要がある。この間、中東情勢 も含む地政学的なリスクの高まりや世界的な天候要因などから、このところ穀 物価格が上昇傾向にある点は、先行きの物価上昇のリスク要因として留意する 必要がある。 やや長い目でみたリスク要因としては、わが国を巡る様々な環境変化が企業 や家計の中長期的な成長期待や潜在成長率に与える影響がある。人口動態の構 造的な変化等に伴う人手不足感の強まりは、デジタル化やAIの利活用などに よる省力化投資の動きを加速させる可能性があり、政府が進めている成長分野 への投資増加に向けた取り組みと相俟って、成長期待や潜在成長率を押し上げ ることも考えられる。この点、投資の制約要因として、人手不足とともに、資 材価格の高騰等を指摘する声が多いことを踏まえると、適切な金融政策運営を 通じて物価の安定を実現することは、わが国の成長投資の拡大を支える観点か らも重要である。一方、人手不足下において、資本と労働の代替が十分に進展 しない場合には、供給制約によって成長率が下押しされるリスクがあることに は注意が必要である。この間、これまで打ち出された各国の通商政策はグロー バル化の潮流に変化を及ぼしている面があり、今後の各国の政策の展開次第で は、そうした変化が急速に進むことも考えられる。

4.金融政策運営

以上の経済・物価情勢について、 「物価安定の目標」のもとで、2つの「柱」 による点検を行い、先行きの金融政策運営の考え方を整理する6。

6 「物価安定の目標」のもとでの2つの「柱」による点検については、日本銀行「金融政 策運営の枠組みのもとでの「物価安定の目標」について」(2013 年1月 22 日)参照。

7 まず、第1の柱、すなわち中心的な見通しについて点検すると、消費者物価 (除く生鮮食品)の前年比は、賃金上昇を販売価格に転嫁する動きが続くもと で、原油価格上昇がエネルギーや財を中心に価格を押し上げるほか、グローバ ルなAI関連需要の増加に伴う半導体価格等の上昇やこれまでの為替円安が 耐久財等の価格上昇につながることから、2%をはっきりと上回る水準まで伸 び率を高めていくと予想される。その後、見通し期間後半には、原油高の影響 が減衰していくもとで、2%程度に向けてプラス幅を縮小していくと考えられ る。この間、人手不足感の強い状況が続くなかで、賃金と物価が相互に参照し ながら緩やかに上昇していくメカニズムが働いており、中長期的な予想物価上 昇率は2%程度となっている。こうしたもとで、消費者物価の基調的な上昇率 は2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準となっており、先行きも同程 度で推移すると考えられる。 政策金利の水準が一頃に比べて上昇しているなかにあっては、金融環境がど のように変化していくかを点検していくことも重要である。この点、実質金利 はこのところ上昇しているが、短期ゾーンを中心になお低い水準となっている ほか、企業全体の収益性と比較した金利コストは十分に低い状況が続いている。 こうしたなか、企業等の資金需要は増加しており、金融機関の貸出態度も引き 続き積極的である。CP・社債市場でも良好な発行環境が続いている。これら の動きに加えて、株や為替といった資産市場の最近の動向も踏まえると、わが 国の金融環境は緩和した状態が維持されている。 次に、第2の柱、すなわち金融政策運営の観点から重視すべきリスクについ て点検する。わが国経済・物価を巡るリスク要因としては様々なものがあるが、 中東情勢やAI関連需要の拡大、為替相場の変動などが、わが国の経済・物価 に及ぼす影響には、引き続き留意が必要である。リスクバランスは、経済の見 通しについては、概ねバランスしている。消費者物価の見通しについては、上 振れリスクの方が大きい。前述したとおり、基調的な物価上昇率が2%の「物 価安定の目標」と概ね整合的な水準となるなか、企業の賃金・価格設定行動が 積極化していることや様々な物価上振れ要因を踏まえると、中長期的な予想物 価上昇率が上昇し、基調的な物価上昇率が2%の「物価安定の目標」を超えて 上振れていくリスクがある。従来は、基調的な物価上昇率を2%に向けて引き 上げていく過程にあり、物価の下振れリスクに相応の注意を払うことが必要で

8 あったが、足もとでは局面が変化しており、今後は、基調的な物価上昇率が2% を超えて上振れていくリスクが顕在化し、それがその後の経済に悪影響を及ぼ すことがないよう、十分に留意する必要がある。 金融面のリスクについてみると、不動産価格や株価といった資産価格の動向 には引き続き留意が必要であるものの、貸出などの金融仲介活動は円滑に行わ れており、現在の金融活動に大きな不均衡はみられていない。わが国の金融シ ステムは、全体として安定性を維持している。内外の実体経済や国際金融市場 が調整する状況を想定しても、わが国の金融機関が充実した資本基盤を備えて いることなどを踏まえると、全体として相応の頑健性を有している。そのうえ で、今後の中東情勢、AI関連投資の収益性と資金調達、海外ノンバンク部門 の動向等が、様々な経路を通じて金融システムに及ぼす影響については丁寧に みていく必要がある7。 金融政策運営については、基調的な物価上昇率が2%の「物価安定の目標」 と概ね整合的な水準となるなか、現在の金融環境が緩和的であることを踏まえ ると、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩 和の度合いを調整していくことになると考えている。そのうえで、調整のタイ ミングやペースについては、中東情勢やAI関連需要の拡大、為替相場の変動 などの影響を含め、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点 検しながら、検討していく方針である。とくに、基調的な物価上昇率が2%の 「物価安定の目標」を超えて上振れていくリスクが顕在化し、それがその後の 経済に悪影響を及ぼすことがないよう、基調的な物価上昇率を2%程度の水準 で安定させていくという観点が重要になると考えている。日本銀行は、2%の 「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、適 切に金融政策を運営していく。 以 上

7 詳しくは日本銀行「金融システムレポート」 (2026 年 10 月)を参照。

9 (参考)

2026~2028 年度の政策委員の大勢見通し

――対前年度比、%。なお、< >内は政策委員見通しの中央値。

消費者物価指数 (参考) 実質GDP 消費者物価指数 (除く生鮮食品) (除く生鮮食品・エネルギー)

+0.7 ~ +0.8 +2.4 ~ +2.6 +2.4 ~ +2.5 2026 年度 <+0.7> <+2.5> <+2.4>

+0.6 ~ +0.7 +2.3 ~ +2.7 +2.3 ~ +2.6 7 月時点の見通し <+0.6> <+2.5> <+2.5>

+0.6 ~ +0.8 +2.4 ~ +2.7 +2.4 ~ +2.7 2027 年度 <+0.7> <+2.6> <+2.7>

+0.7 ~ +0.8 +2.2 ~ +2.5 +2.2 ~ +2.7 7 月時点の見通し <+0.8> <+2.4> <+2.6>

+0.7 ~ +0.9 +2.0 ~ +2.1 +2.2 ~ +2.4 2028 年度 <+0.8> <+2.0> <+2.3>

+0.7 ~ +0.8 +2.0 ~ +2.2 +2.1 ~ +2.3 7 月時点の見通し <+0.8> <+2.0> <+2.2>

(注1)「大勢見通し」は、各政策委員が最も蓋然性の高いと考える見通しの数値について、最大値と最小値 を1個ずつ除いて、幅で示したものであり、その幅は、予測誤差などを踏まえた見通しの上限・下限 を意味しない。 (注2)各政策委員は、既に決定した政策を前提として、また先行きの政策運営については市場の織り込み を参考にして、上記の見通しを作成している。 (注3)今回の見通しにおいては、現在国会で審議中の飲食料品消費税率の臨時的な引き下げなどとそれに 伴う影響は織り込んでいない。本年9月に閣議決定された税制改正大綱を前提に、税率変更が対象品 目すべてにそのまま適用された場合の消費者物価への影響を機械的に計算すると、2027 年度の消費 者物価(除く生鮮食品)の前年比を-1.3%ポイント程度、消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー) の前年比を-1.4%ポイント程度、それぞれ押し下げるとみられる。

10 政策委員の経済・物価見通しとリスク評価

(1)実質GDP (前年比、%) (前年比、%) 2.0 2.0

1.5 1.5

1.0 1.0

0.5 0.5

0.0 0.0

-0.5 -0.5 2021 2022 年度 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029

(2)消費者物価指数(除く生鮮食品) (前年比、%) (前年比、%) 3.5 3.5

3.0 3.0

2.5 2.5

2.0 2.0

1.5 1.5

1.0 1.0 2021 2022 年度 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029

(注1)実線は実績値、点線は政策委員見通しの中央値を示す。 (注2)●、△、▼は、各政策委員が最も蓋然性が高いと考える見通しの数値を示すとともに、その形状で 各政策委員が考えるリスクバランスを示している。●は「リスクは概ね上下にバランスしている」、 △は「上振れリスクが大きい」、▼は「下振れリスクが大きい」と各政策委員が考えていることを示し ている。

11

引用可能な事実単位(F-Units)

2026 年 10 月 30 日

F1 本サイト収録原文の原文どおりの文(書式記号と余分な空白のみ除去)· 第 1 段落 · boj.or.jp 出典区分:未分類(未確認)

経済・物価情勢の展望(2026 年 10 月)

F2 本サイト収録原文の原文どおりの文(書式記号と余分な空白のみ除去)· 第 2 段落 · boj.or.jp 出典区分:未分類(未確認)

⚫ 先行きのわが国経済を展望すると、2026 年度については、中東情勢の影響を受けた春

F3 本サイト収録原文の原文どおりの文(書式記号と余分な空白のみ除去)· 第 3 段落 · boj.or.jp 出典区分:未分類(未確認)

2027 年度以降は、エネルギー・原材料高のマイナスの影響が減衰し、所得から

F4 本サイト収録原文の原文どおりの文(書式記号と余分な空白のみ除去)· 第 3 段落 · boj.or.jp 出典区分:未分類(未確認)

安が耐久財等の価格上昇につながることから、2%をはっきりと上回る水準まで伸び率を

F5 本サイト収録原文の原文どおりの文(書式記号と余分な空白のみ除去)· 第 4 段落 · boj.or.jp 出典区分:未分類(未確認)

よくある質問(FAQ)

このニュースの要点は?

2026 年 10 月 30 日

原文に出てくる主な数字は?

経済・物価情勢の展望(2026 年 10 月) ⚫ 先行きのわが国経済を展望すると、2026 年度については、中東情勢の影響を受けた春

このニュースの出典と公開日時は?

出典:boj.or.jp(https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2610a.pdf)。原文の公開日時:2026-10-30。