ニュース本文
令和8年10月26日
令和8年10月20日(火)から23日(金)まで、英国・ロンドンの国際海事機関(IMO)本部において、国際油濁補償基金(IOPCF)第31回総会等が開催されました。 今次会合では、基金の健全な運営を監査する役割を担う監査委員会(定員6名)について選挙が行われ、奈良平博史氏(株式会社 DBJ総合研究所 理事)が最多得票でトップ当選しました。
国際油濁補償基金(以下「基金」という。)は、タンカーの事故により巨額の油濁損害が発生した場合に、被害者に対して迅速な補償を行うために設けられています。基金は、タンカーで運ばれた油を受け取る事業者(石油元売事業者等)が負担する拠出金により運営されており、日本は主要拠出国の一つです。 今次会合は対面及びオンラインによるハイブリッド方式で開催され、84加盟国及びオブザーバー資格を有する国際機関・団体等が参加し、我が国からは、国土交通省、在英国日本国大使館、学識経験者、石油海事協会、(一社)日本船主協会、(公財)日本海事センター等の関係者が出席しました。
主な結果(詳細は別紙のとおり)
- 監査委員会委員の選挙
基金の適切な運営を確保する監査委員会の委員(任期3年)の選挙が行われ、日本から立候補した奈良平氏が最多得票でトップ当選しました。
- 基金に関連する事故・拠出
今次総会では、14件の油濁事故について、事故対応等の進捗報告及び議論が行われました。また、これらの内、2つの事案に対する補償のため、拠出金を徴収することも承認されました。
- 地政学的事象が国際的な責任・補償制度に及ぼす影響
近年の制裁、武力紛争その他の地政学的事象を背景として、無保険及び安全でない船舶、虚偽の旗を掲げる船舶、不正登録船等の運航が増加し、国際的な油濁責任・補償制度の適用及び基金財政に影響を及ぼすおそれがあることについて議論が行われました。
- 2010年HNS条約について
来年11月29日に発効するHNS条約の準備状況として、貨物受取量をオンラインで報告するシステム開発、締約国向けの研修など取り組み状況が報告されました。
添付資料
奈良平博史氏がトップ当選しました! (PDF形式:237KB)
お問い合わせ先
国土交通省 海事局 国際油濁補償基金対策室 日坂、小本
TEL:03-5253-8111 (内線43-224) 直通 03-5253-8631
PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Acrobat Readerが必要です。
左のアイコンをクリックしてAdobe Acrobat Readerをダウンロードしてください(無償)。
Acrobat Readerをダウンロードしても、PDFファイルが正常に表示されない場合は こちら をご覧ください。
添付資料1 令 和 8 年 10 月 26 日 海事局 国際油濁補償基金対策室
奈良平博史氏がトップ当選しました! ~国際油濁補償基金第 31 回総会等の結果概要~ 令和8年 10 月 20 日(火)から 23 日(金)まで、英国・ロンドンの国際海事機関(IMO) 本部において、国際油濁補償基金(IOPCF)第 31 回総会等が開催されました。 今次会合では、基金の健全な運営を監査する役割を担う監査委員会(定員6名)につ いて選挙が行われ、奈良平博史氏(株式会社 DBJ 総合研究所 理事)が最多得票でトッ プ当選しました。
国際油濁補償基金(以下「基金」という。)は、タンカーの事故により巨額の油濁損害 が発生した場合に、被害者に対して迅速な補償を行うために設けられています。基金は、 タンカーで運ばれた油を受け取る事業者(石油元売事業者等)が負担する拠出金により 運営されており、日本は主要拠出国の一つです。 今次会合は対面及びオンラインによるハイブリッド方式で開催され、84加盟国及び オブザーバー資格を有する国際機関・団体等が参加し、我が国からは、国土交通省、在 英国日本国大使館、学識経験者、石油海事協会、(一社)日本船主協会、(公財)日本海 事センター等の関係者が出席しました。
主な結果(詳細は別紙のとおり)
1.監査委員会委員の選挙 基金の適切な運営を確保する監査委員会の委員(任期3年)の選挙が行われ、日本か ら立候補した奈良平氏が最多得票でトップ当選しました。 2.基金に関連する事故・拠出 今次総会では、14 件の油濁事故について、事故対応等の進捗報告及び議論が行われ ました。また、これらの内、2つの事案に対する補償のため、拠出金を徴収することも 承認されました。
- 地政学的事象が国際的な責任・補償制度に及ぼす影響
近年の制裁、武力紛争その他の地政学的事象を背景として、無保険及び安全でない船 舶、虚偽の旗を掲げる船舶、不正登録船等の運航が増加し、国際的な油濁責任・補償制 度の適用及び基金財政に影響を及ぼすおそれがあることについて議論が行われました。
- 2010 年 HNS 条約について
来年 11 月 29 日に発効する HNS 条約の準備状況として、貨物受取量をオンラインで報 告するシステム開発、締約国向けの研修など取り組み状況が報告されました。
<問合せ先> 海事局 国際油濁補償基金対策室 日坂、小本 代表 03-5253-8111(内線 43-224)、03-5253-8631(直通) 別紙 国際油濁補償基金第 31 回総会等の主な審議結果
1.監査委員会委員の選挙 基金は、その適切な運営を確保するため監査委員会が設置されています。本委員会は、 専門家1名に加え、加盟国が推薦した者から6名が選挙により選出されます(任期3年。 最大2期まで)。基金の主要拠出国の一つである我が国にとって、拠出金が適切に被害者 の補償に充てられているか等、基金の適切な運営を精査する監査委員の役割は非常に重 要です。 今次会合では、2029 年までを任期とする新たな監査委員の選挙が行われました。我が 国が推薦した奈良平博史氏(株式会社 DBJ 総合研究所 理事)を含む8名の立候補があ り、奈良平氏が最多得票でトップ当選しました。
<奈良平博史氏 経歴> 1982 年運輸省入省。 国土交通審議官、駐ブルガリア日本国特命全権大使等を経て、 現在は株式会社 DBJ 総合研究所 理事。
<新たな監査委員 一覧・得票数> 奈良平 博史氏(日本) 1期目 59票 チェ・ソンヨン(韓国) 1期目 53票 ハリンダル・シング(インド) 1期目 50票 フォルカー・ショフィッシュ(ドイツ)※現議長 2期目 49票 ニコラス・イオアヌ(キプロス) 1期目 48票 クリストフ・ムンガンジェラ(ナミビア) 2期目 47票
2.基金に関連する事故・拠出 基金に関連する複数の油濁事故について、14 件の進捗の報告及び議論が行われました。 2024 年 12 月、黒海のケルチ海峡で発生したロシア籍タンカー2隻(Volgoneft 212 号 及び Volgoneft 239 号)の沈没・座礁事案について、基金事務局より、ロシア連邦によ る正式な支援要請、具体的な補償請求又は基金の補償責任を判断するために必要な詳細 情報を受領しておらず、被害額又は補償請求額を算定するための情報も提供されていな い旨改めて文書で報告されました。同事務局は、引き続き状況を注視し、進展があった 場合には今後の会合に報告することとなりました。 なお、Princess Empress 号事案(2023 年2月にフィリピンで発生)、Gulfstream 号事 案(2024 年2月にトリニダード・トバゴで発生)の2件の事案において、被害補償のた めに設定されている基金残高の不足が見込まれることから、翌年に計 16 百万英ポンドの 拠出金を徴収する旨承認されました。
- 地政学的事象が国際的な責任・補償制度に及ぼす影響
近年の制裁、武力紛争その他の地政学的事象に伴い、無保険及び安全でない船舶、虚 偽の旗を掲げる船舶並びに不正登録船等の運航が増加しています。 92 年基金条約及び追加基金議定書においては、制裁の対象となる事案であること自体 を理由として基金の補償義務を免除する規定はなく、船舶所有者又は保険者が責任制限 基金を設定できない場合や補償金を送金できない場合、本来は船舶所有者側が負担すべ き補償を基金が追加的に負担する可能性があります。一方、92 年基金条約第4条第2項 (a)は、汚染損害が戦争行為、敵対行為、内戦又は反乱に起因する場合等について、基 金の補償義務を免除しています。 基金事務局からは、2026 年6月にオマーン沖で事故に遭った MT Caroline Bezengi 号 について、現時点で一般的に入手できる情報に基づき、戦争行為又は敵対行為による免 責に該当し、92 年基金は関与しないとの整理が示されました。
- 2010 年 HNS 条約の発効に向けた準備
2010 年 HNS 条約については、HNS 基金の設立、初回総会における意思決定及び各締約 国による国内実施を円滑に進めるための準備が行われており、基金事務局により、取扱 物質の検索に用いる HNS Finder、オンライン HNS 報告プラットフォーム、拠出金管理シ ステムとの接続、締約国向け研修及び事務局内の実施体制等の準備が進められています。 なお、オンライン HNS 報告システムについては、将来的に 92 年基金及び追加基金の油 受取量報告にも使用することが予定されております。当該開発費について、既存基金側 が 75%、HNS 基金側が 25%を負担する暫定的な配分案が示され、今次総会において承認 されました。
- その他
1.STOPIA 2006 及び TOPIA 2006 ― 船主と基金の補償負担に関する協定の見直し 油濁事故の補償費用について、船主側と基金側の負担の均衡を図るための協定である STOPIA 2006 及び TOPIA 2006 の見直し結果が報告されました。2006 年から 2026 年まで に実際に支払われた補償費用の割合として、船主側が 66%、92 年基金側が 34%であり、 船主側の負担が協定上の基準である 60%を上回っていることが示されました。 船主側(国際 P&I グループ、国際海運会議所(ICS)等)からは、小型タンカーによる 油濁事故について船主側が 92 年基金に補填する STOPIA 2006 の限度額を現行の 2,000 万 SDR に維持し、2031 年に改めて見直すことが提案されており、両協定は当面現行の内容 で継続されます。 2.小型タンカーの油濁事故に備えた新たな仕組み 小型タンカーによる油濁事故が発生した場合、船主側が 92 年基金の補償費用の一部を 負担する新たな仕組みを導入する方針が、商業 P&I 保険者協会(ACPII)から示されてい ます。当該仕組みでは、ACPII の加盟保険会社が保険を引き受ける小型タンカーについて、 船主側が1事故当たり最大 2,000 万 SDR まで 92 年基金に補填します。契約条件等は現在 調整中であり、保険契約の更新に合わせて順次導入される予定です。 以上