ニュース本文
1. 残留性有機汚染物質を国際的に規制するストックホルム条約による規制対象物質について検討を行う「残留性有機汚染物質検討委員会」(POPRC)の第22回会合が、2026年9月21日~同年9月25日(現地時間)の日程で、イタリア共和国・ローマで開催されました。
2. 本会合では、四臭素化体から八臭素化体までのポリ臭素化ジベンゾ-p-ジオキシン及びポリ臭素化ジベンゾフランについて、リスク管理に関する評価を検討する段階に進めることが決定されました。
3. また、新たに提案された①デカブロモジフェニルエタン(DBDPE)とその関連物質、臭素化ジフェニルエタン及び②ビス(2-エチルヘキシル)テトラブロモフタレート(TBPH)、その個々の異性体及び/又はそれらの異性体混合物を含む、について、リスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定されました。
4. 個別の適用除外に関する検討では、①ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とその塩及びペルフルオロオクタンスルホニルフルオリド(PFOSF)の認めることのできる目的及び個別の適用除外の見直しが行われ、②医薬品製造を目的としたペルフルオロオクチル=ブロミドの製造のためのペルフルオロオクチル=ヨージドの使用の適用除外について維持することが決定されました。
「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」は、環境中での残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念されるポリ塩化ビフェニル(PCB)、DDT等の残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)の製造及び使用の廃絶や制限、その意図的でない生成による放出の削減等の規制に関する条約です。
規制対象物質について検討を行う「残留性有機汚染物質検討委員会」(POPRC。加盟国の31人の専門家から構成。)においては、加盟国から提案された物質について、①スクリーニング、②危険性に関する詳細検討(リスクプロファイル)、③リスク管理に関する評価の検討の3段階のプロセスを経て、締約国会議(COP)に勧告します。
COPでの決定の後、各加盟国は、対象物質について製造、使用等を規制することになります。我が国では、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号)」等によって規制します。
POPRCの第22回会合(POPRC22)は、9月21日(月曜日)から9月25日(金曜日)まで、イタリア共和国のローマで開催され、日本からは、専門家として金原和秀静岡大学理事/副学長が、また、オブザーバーとして経済産業省・環境省の担当官等が出席しました。
POPRC22で決定した内容は、以下のとおりです。
①ポリ臭素化ジベンゾ-p-ジオキシン及びジベンゾフラン(PBDD/Fs)並びにポリ臭素化塩素化ジベンゾ-p-ジオキシン及びジベンゾフラン(PBCDD/Fs)(提案国:スイス連邦)
【主な用途】非意図的生成物
リスクプロファイル案について、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を審議した結果、四~八臭素化PBDD/Fsが重大な悪影響をもたらすおそれがあるとの結論に達し、次回会合(POPRC23)においてリスク管理に関する評価を検討する段階に進めることが決定されました。一方、PBCDD/Fsについては、長距離移動性と毒性について不確実性があるため、POPRC23までに更なる情報を収集することとなりました。さらに、一~三臭素化PBDD/Fs及び二~三ハロゲン化PBCDD/Fsについては、重大な悪影響をもたらすおそれがないと結論づけられました。
②デカブロモジフェニルエタン(DBDPE)とその関連物質、臭素化ジフェニルエタン(提案国:ノルウェー王国)
【主な用途】難燃剤(主に電気電子機器、自動車部品、建築及び建設資材、繊維に用いられる)
提案国から提出された提案書について、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を審議しました。DBDPEについては、全体としてスクリーニング基準を満たすとの結論に達しました。よって、POPRC23に向けてリスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定されました。なお、濃縮性については、不確実性があるため、さらなる情報を含めリスクプロファイル案を作成する段階で検討することが決定されました。また、DBDPE関連物質に関する情報についても、リスクプロファイル案を作成する段階で検討することが決定されました。
③ビス(2-エチルヘキシル)テトラブロモフタレート(TBPH)、その個々の異性体及び/又はそれらの異性体混合物を含む(提案国:欧州連合)
【主な用途】難燃性可塑剤(主に配線及びケーブル絶縁に用いられる柔軟なポリ塩化ビニル、建設分野で用いられる硬質ポリウレタン)
提案国から提出された提案書について、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を審議しました。TBPH、その個々の異性体及び/又はそれらの異性体混合物を含む、については、全体としてスクリーニング基準を満たすとの結論に達しました。よって、POPRC23に向けてリスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定されました。なお、濃縮性については、不確実性があるため、さらなる情報を含めリスクプロファイル案を作成する段階で検討することが決定されました。
①ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とその塩及びペルフルオロオクタンスルホニルフルオリド(PFOSF)の認めることのできる目的及び個別の適用除外の継続的な必要性に関する検討
附属書B(制限)の第三部第5項及び第6項に基づき、認めることのできる目的及び個別の適用除外の見直しが行われ、認めることのできる目的として「ハキリアリの防除に用いられる防虫剤」、個別の適用除外として「液体燃料から発生する蒸気の抑制及び液体燃料による火災のために配備されたシステム(移動式及び固定式の両方を含む。)における泡消火薬剤」に限ることをCOPに勧告することが決定されました。
②医薬品製造を目的としたペルフルオロオクチル=ブロミド(PFOB)の製造のためのペルフルオロオクチル=ヨージド(PFOI)の使用の適用除外の継続的な必要性に関する検討
医薬品製造を目的としたPFOBの製造のためのPFOIの使用の適用除外の継続的な必要性に関する検討が行われ、適用除外の維持についてCOPに勧告することが決定されました。
③その他の事項
ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質、ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)とその塩及びPFHxS関連物質並びに長鎖ペルフルオロカルボン酸(LC-PFCA)とその塩及びLC-PFCA関連物質に該当する物質の例示リストの改定について、引き続き情報収集を行うことが決定されました。
グローバルモニタリング計画について、モニタリング戦略を強化するため、POPRCでの技術検討に係るPOPs関連情報の提供を行うことが決定されました。
POPRC23は2027年9月27日~10月1日にイタリア共和国・ローマで開催される予定です。また、POPRC21及びPOPRC22の結果を踏まえた第13回締約国会議(COP13)は2027年4月19日~30日にパナマ共和国のパナマシティで開催される予定です。
なお、次回会合に向け、以下の会期間作業グループが設置され検討が行われます。
①四~八臭素化PBDD/Fsのリスク管理に関する評価案の作成、及びPBCDD/Fsの科学情報追加からの検討
②DBDPEとその関連物質、臭素化ジフェニルエタンに関するリスクプロファイル案の作成
③TBPH、その個々の異性体及び/又はそれらの異性体混合物を含む、に関するリスクプロファイル案の作成
④在庫、使用中の製品及び成形品並びに廃棄物に含まれる残留性有機汚染物質の報告書に関するフォローアップ並びに附属書Fに基づく情報提出の促進に関連する検討
⑤濃縮性に関するガイダンス(UNEP/POPS/POPRC.3/20/Annex VI)の改定
連絡先
環境省大臣官房環境保健部化学物質安全課