新聞正文
Intent Exchange株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役:中台 慎二、以下「Intent Exchange」)は、ドローン運航管理(UTM)の要となる飛行計画調整に関して、2026年10月に東京で開催されるGlobal UTM Association (GUTMA) Harmonized Skies 2026で実証を行い、続くASTM International F38 UAS Asia-Pacific Workshop 2026において、飛行計画調整プロトコルの提案を行います。
この飛行計画調整は、2026年3月31日に国土交通省によって審査要領が策定されたUTMサービスプロバイダ(以下、USP)制度(注1)にて利用されることを想定しています。このUSP制度では複数のUSP間で飛行計画調整が行われますが、どのように行うべきかについては、UTMの国際標準化を行うASTMでも標準化されていませんでした。
■GUTMA Harmonized Skies 2026におけるUTM実証
2026年10月5日~6日に東京・汐留で開催されるGUTMA Harmonized Skies 2026において、飛行計画調整とこれに基づく飛行、さらに動態管理やSpecific Operations Risk Assessment (SORA)に基づく地上リスク評価の実証を実施します。GUTMAは、世界各国の航空当局、UTM関連事業者、ドローン運航者などからなるUTMの業界団体であり、Harmonized Skiesはその年次国際会議です。ドローン運航管理に関する制度、技術、標準化、相互運用性などが議論されます。
【実証概要】
日時:2026年10月6日(火)
場所:海の森水上競技場 西側イベント広場(東京都江東区)
場所提供:東京都(東京ベイeSGプロジェクト Tokyo Bay Innovation Field(注2))
実証内容:飛行計画調整、動態管理、地上リスク評価
※天候・風況等により、実証内容の変更または中止となる場合があります。
飛行計画調整
USP制度では、ドローン運航者はUSPを介して国土交通省のDIPS2.0に飛行計画を通報し、その飛行計画が他の運航者の計画と重複していた場合には、DIPS2.0が重複を判定し、USP間でその重複を解消する調整がなされることが想定されています。飛行計画調整プロトコルは、この目的のために調整に関する一連のやり取りを定めた規約です。本実証では、提案するプロトコルの一部を別のUSPと接続し、計画調整の利便性・運用性や自動化の可能性を検証します。
図1 飛行計画調整のイメージ
欧州のU-Space(UTMに相当)では、同じ優先順位の飛行許可申請は先着順に処理され(First come, first served)、先行する申請と空域・時間が重複する場合、後からの申請は承認されません。そのため、後から申請する運航者は、飛行エリアや時間帯を見直して申請する必要があります(注3)。そのため、運航者が「広めに、長めに、早めに予約」してしまう課題があると言われています。これに対して申請期間や計画の広さ等を限定するといった対策が検討されていますが、定期運航が有利といった公平性の問題が残っています(注4)。日本でも、過去には重複した飛行計画が登録できない時期もありましたが、現在は調整次第で後発の運航者も運航できる制度となっており、USP制度に至っています。このため日本では、先行的に飛行計画調整の仕組みが必要になっています(図1、図2)。
図2 早い者勝ち制度で必要となる囲い込み対策と、日本の飛行計画調整
このような一時的な重複を許容しつつ、調整によって空中リスクの低減を行う方向性は、ASTMにおいても検討されていました。しかしながら、発行されたUTM標準(注5)には盛り込まれず、将来の追加候補として調整(Negotiation)が挙げられています。そこでIntent Exchangeは、現在の日本で、メール等で行われている飛行計画調整の運用実態を踏まえ、さらに過去の米国における取り組みも参考にして、飛行計画調整プロトコルを設計・開発・検証しましたので、これを標準仕様として提案を行います。
動態管理
日本のUTMは段階的な導入が計画され、2026年3月の段階(Step 2初期)では、飛行前の計画調整などの一部機能に留まります。一方、U-Spaceサービスプロバイダの認定では、飛行中のドローンの位置をリアルタイムで共有する動態管理などが必須とされ(注3、図3)、ASTMではネットワーク・リモートIDとして標準化されています(注6)。この動態管理は、日本ではStep 2中後期の機能とされています(注1)。Intent Exchangeは、これを大阪・関西万博に試験提供し(注7)、本実証でも飛行中のドローンの管理に利用します。
図3 UTM Step 2中後期で導入予定の動態管理
地上リスク評価
ドローンの第三者上空での目視外飛行(レベル4)が容易になることで、さらにドローンの市場が拡大すると言われていますが、レベル4飛行を含むカテゴリーⅢ飛行には、運航形態に応じたリスク評価に基づく飛行マニュアルなどが必要となります。国土交通省は、JARUS(Joint Authorities for Rulemaking on Unmanned Systems)のSORAを国内制度に合わせた福島ロボットテストフィールドのガイドライン(注8)の使用を推奨しています。SORAは、ドローン運航のリスク評価に関する国際的な枠組みですが、人口密度や機体の落下範囲を考慮して評価する必要があり、簡単な評価とは言えません。そこで、Intent Exchangeは、シミュレーションとAIに基づく地上リスク評価手法を開発し、運航者による簡易な評価を可能としました。これにより、例えば、運航者による安全管理システム(SMS:Safety Management System)の構築支援が可能となります。本実証では、風の影響を受けやすいパラシュートを搭載した機体のリスク評価を行います(図4)。
図4 SORAに基づく地上リスク評価を支援
■ASTMで飛行計画調整プロトコルを提案
Harmonized Skies 2026に続き、10月7日~8日には「ASTM International F38 UAS Asia-Pacific Workshop 2026」が開催されます。ASTM InternationalのF38委員会は、ドローンに関する国際標準を策定しており、機体、運航、運航管理など幅広い領域で標準化活動を進めています。例えば、日本でも義務付けられているリモートIDの仕様もASTMが策定しました(注6)。UTMの国際標準、特に、複数のサービスプロバイダから構成される分散型UTMの規格も策定しており(注5)、この規格は欧州のEASAのガイダンスで相互運用の手段として例示され、米国FAAのUTM運用評価でも参照されています。
Intent Exchangeは、飛行計画調整プロトコルの設計にあたって、計画重複を調整によって解消している日本の運用実態や、NASAの先行検証(注9)から要件を設定しました。同ワークショップではこれらを紹介し、標準化に向けた提案を行います。実際に、提案がASTM規格に採用されるかどうかは、今後の審議によります(図5)。
図5 今回の飛行計画調整プロトコルの提案の位置付け
なお、標準化に関しては、GUTMA Harmonized Skies 2026においても、「Standards as a Gateway to Global Markets」と題したパネルディスカッションに代表の中台が登壇します。同セッションでは、国際標準の策定や、規制当局による標準の活用、事業者が複数の国・地域で効率的に適合性を証明できる仕組みなどについて議論します。
■Intent Exchangeについて
Intent Exchangeは、日本電気株式会社(NEC)における自動交渉AIの研究開発を起点として、2023年に設立されたスタートアップです。ドローンを中心とする次世代モビリティの運航管理をはじめ、AIを活用した技術・サービスを開発しています。また、代表取締役の中台は2019年からGUTMAの理事を務め、日本におけるUTMの国際標準化と、日本発の国際標準の策定に向けた活動を進めてきました。
創業以来、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する「次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト」(ReAMoプロジェクト、注10)などを通じ、UTMの研究開発を進めています。本実証の一部も、ReAMoプロジェクトの成果となります。
■各会議の開催概要
GUTMA Harmonized Skies 2026
開催日:2026年10月5日(月)~6日(火)
開催地:電通ホール(東京都港区)
主催:Global UTM Association(GUTMA)
内容:UTM、U-Space、BVLOS運航、相互運用性、標準化などに関する国際会議
URL:https://gutma.org/harmonizedskies2026/
ASTM International F38 UAS Asia-Pacific Workshop 2026
開催日:2026年10月7日(水)~8日(木)
開催地:電通ホール(東京都港区)
主催:ASTM International
内容:無人航空機システム(UAS)の国際標準化、規制、技術、運航などに関する国際ワークショップ
URL:https://na.eventscloud.com/website/96545/
■本件に関するお問い合わせ
Intent Exchange株式会社
Email:info@intent-exchange.com
注1) 国土交通省 USP制度, https://www.mlit.go.jp/koku/usp.html
注2) 東京ベイeSGプロジェクト Tokyo Bay Innovation Field, https://www.tokyobayesg.metro.tokyo.lg.jp/priorityprojects/
注3) Regulation (EU) 2021/664 Article 10(2)(b) and (9), https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32021R0664
注4) EASA U-Space Workshop Q&A, https://www.easa.europa.eu/en/downloads/136131/en
注5) ASTM International, F3548-21, Standard Specification for UTM USS Interoperability, https://store.astm.org/f3548-21.html
注6) ASTM International, F3411-19/F3411-22, Standard Specification for Remote ID and Tracking, https://store.astm.org/f3411-19.html , https://store.astm.org/f3411-22.html
注7) 2025年9月24日プレスリリース「大阪・関西万博にて、ドローンや空飛ぶクルマの運航状況を把握するための運航管理システムを試験提供」, https://intent-exchange.com/news/20250924
注8) 安全確保措置検討のための無人航空機の運航リスク評価ガイドライン, https://rtf.f-rei.go.jp/about-rtf/initiatives/guidelines
注9) NASA, Strategic Deconfliction Performance: Results and Analysis from the NASA UTM TCL4 Demonstration (2020), https://ntrs.nasa.gov/citations/20205006337
注10)次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト/Realization of Advanced Air Mobility Project:ReAMoプロジェクト, https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP2_100181.html