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博報堂生活総合研究所では、生活者の意識や行動の変化から将来の価値観や欲求の行方を予測するため、同じ条件の調査地域・調査対象者に対し、同じ質問を繰り返し投げかける長期時系列調査「生活定点」を、1992年から2年に1度実施しています。このたび、2026年の最新調査結果を加えた、34年間の調査データを公開します。
本リリースでは、2026年に時系列上の過去最高・過去最低を更新した主な項目をご紹介します。日本はいま、継続的な物価上昇のただなかにありますが、生活者への調査では「現在の生活に満足している」が過去最高となりました。ほかにも、「株など投資に今後お金をかけたい」「男性も、育児休業/育児休暇をとるべきだと思う」などが過去最高となっています。一方、「お歳暮は毎年欠かさず贈っている」「環境保護を考えた商品なら今より価格が高くても買う」などは過去最低を更新しています。34年間の変化からみえてくるのは、社会や会社、家族、慣習が示す一律の価値観に自分を合わせるのではなく、自分にとって切実に感じるものごとや心地よい人間関係を選び、納得できる暮らしを組み立てようとする生活者の姿です。生活への満足を高めながら、自分の暮らしは自分で守る。夫婦や友人とも、形式より個人を尊重した関係を築く。そして、多くの情報を集めることより、自分に適したものに絞り込む。過去最高・過去最低となった項目からは、こうした生活者の変化がうかがえます。
2026年に“過去最高”を更新した主な項目 ※かっこ内は聴取開始以来最低値との差
(a)日本の行方 質の高いサービスは日本の誇りだと思う 46.4%(+35.6pt)
(b)消費・お金 株など投資に今後お金をかけたい 32.8%(+21.4pt)
(c)働き 男性も、育児休業/育児休暇をとるべきだと思う 53.0%(+20.1pt)
(d)健康 睡眠時間を増やしたい 68.3%(+15.6pt)
(e)消費・お金 趣味にお金をかけている 36.1%(+15.4pt)
(f)家族 夫婦各々好きなことをしたり、別に暮らしてもかまわないと思う 36.9%(+12.3pt)
(g)贈答 友人に、誕生日などでプレゼントをすることが多い 30.2%(+11.2pt)
(h)暮らし向き 現在の生活に満足している 70.8%(+8.2pt)
2026年に“過去最低”を更新した主な項目 ※かっこ内は聴取開始以来最低値との差
(i)贈答 お歳暮は毎年欠かさず贈っている 17.1%(-44.7pt)
(j)地球環境 環境保護を考えた商品なら今より価格が高くても買う 35.6%(-22.3pt)
(k)日本の行方 10年先の日本に、外国人観光客が増えることを期待する 13.7%(-19.4pt)
(l)情報 情報は多ければ、多いほどいいと思う 11.3%(-13.4pt)
(m)家族 妻は家庭内の役割を、夫は家庭外の役割を担っている [既婚者] 52.8%(-13.0pt)
(n)健康 健康・医療情報に関心がある 36.3%(-11.5pt)
(o)働き 会社に対する忠誠心があると思う [有職者] 24.6%(-10.6pt)
(p)メディア ソーシャルメディアへの投稿をしたいと思う [ネット利用者] 40.6%(-7.2pt)
2026年に過去最高・過去最低を更新した項目から、各テーマにつき2項目を取り上げ、生活者の変化を考察します。
・赤色のグラフは2026年に過去最高の項目、青色は過去最低の項目
・各グラフに付した( )内のアルファベット記号は、p.1掲載項目の記号に対応
日常のなかに、自分なりの満足をつくる
「現在の生活に満足している」は2012年以降ゆるやかな上昇傾向にあり、2026年は初めて7割に達して過去最高となりました。その背景として「生活定点」からみえるものは、ここで示した「趣味にお金をかけている」のほか、同じく過去最高となった「身の周りで楽しいことが多い」などがあります。生活者は、自分の好きなことや日々楽しめることにお金を使い、身近な生活のなかに満足を感じるようになっているのかもしれません。
暮らしは自力で守る
「株など投資に今後お金をかけたい」で2020年以降に上昇傾向が鮮明になる一方、「会社に対する忠誠心があると思う」は長期的に低下傾向にあります。1990年代のバブル経済崩壊以降、終身雇用や年功序列といった会社の制度が徐々に弱まっていることに呼応するように、生活者の意識が自分の将来や生活を会社だけに委ねるのではなく、自ら備えようとする方向へ変化していることがうかがえます。
社会課題への意識:男性の育児参加が高まり、環境問題が低下
「男性も、育児休業/育児休暇をとるべきだと思う」が2018年以降に上昇傾向となる一方、「環境保護を考えた商品なら今より価格が高くても買う」は長期的に低下しています。
生活者は社会課題全般に関心を持たなくなっているのではなく、時代によって関心を持つテーマが変化しているようです。
外国人観光客の一般化と、日本の良さの再発見
「10年先の日本に、外国人観光客が増えることを期待する」は、2022年をピークに直近4年間で低下しています。訪日客が一般化し日常風景となった実感がうかがえます。また、直近4年間では「質の高いサービスは日本の誇りだと思う」が再上昇をみせ、日本の「食文化」「公共交通・インフラの整備」への誇りも過去最高となっています。日本の良さを見つめ直す意識が高まっているようです。
夫婦でありながら、個人を尊重する関係へ
専業主婦よりも共働きの家庭が増えて多数派となるなか、「妻は家庭内の役割を、夫は家庭外での役割を担っている」は過去最低となりました。一方、「夫婦各々好きなことをしたり、別に暮らしてもかまわないと思う」という意識は過去最高となり、夫婦が独立した個人としての側面を持つように変化しつつあります。決まりきってはいない役割をお互いに調整することで、夫婦であることと、個人であることを、両立させるようになっているのかもしれません。
交際は人を選んで親密に
「お歳暮は毎年欠かさず贈っている」が過去最低となる一方、「友人に、誕生日などでプレゼントをすることが多い」が過去最高となりました。贈答が一様に減っているのではなく、慣習や義理に基づいて広く一律に贈ることから、自分が大切にしたい相手に、自分で選んだ機会に贈ることへと変化しているようです。
情報の受信・発信とも絞り込みへ
「情報は多ければ、多いほどいいと思う」という情報の受信に関する意識が長期的な低下傾向を示しています。更に、「ソーシャルメディアへの投稿をしたいと思う」という発信側も高止まりの後、2024年から下降局面に入りました。
大量の情報が行き交う時代に、受信する情報と発信する内容を自分で絞り込んで、快適な状況を整えようとする生活者が増えているのかもしれません。
健康・医療情報への関心は低下、睡眠時間を増やしたい意向は上昇
「健康・医療情報に関心がある」が2006年以降に低下傾向にありますが、健康への関心そのものが薄れたわけではなさそうです。「睡眠時間を増やしたい」は上昇傾向にあり、特に2018年以降に顕著になっています。
お知らせ
34年間・約1,400項目の調査結果公開 Webサイトを更新
https://seikatsusoken.jp/teiten/
「生活定点」調査のほぼすべてのデータを無償公開する「生活定点Webサイト」も、2026年調査結果を加えてアップデートしました。
膨大なデータをグラフィカルに「わかりやすく」表示するとともに、「意外な発見や発想のヒントを得たい」方のために様々な切り口でデータを紹介します。
研究員による解説も順次追加予定です。
出典を明記していただければ、データをご自由にお使いいただけます。
[ 制作協力:チームラボ株式会社 ]
【約1,400の項目別ページ】 性別・年代別・地域別などのグラフも表示できます。
【似てるかもグラフ】 時系列グラフの形が似ている2つのデータを紹介。 意外な組合せが発想を刺激します。
「生活定点」調査概要
調査地域 首都40km圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県) 阪神30km圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)
調査対象 20歳~69歳の男女 2020年 国勢調査に基づく人口構成比(性年代5歳刻み)で割付
調査人数 2,240人(2026年・有効回収数)
調査時期 1992年から偶数年5~6月に実施 (最新調査は2026年5月7日~6月25日、2020年のみ6~7月実施)
調査方法 訪問留置法
設計・分析 博報堂生活総合研究所
実施・集計 QO株式会社