新聞正文
報道関係各位本資料は、報道関係者の皆さまへ提供するものです。本製品(PAL-222)は現在開発中の再生医療等製品であり、未承認です。
2026年10月2日
ファーマバイオ株式会社
ファーマバイオ株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:草野仁、以下「当社」)は、近視性網脈絡膜萎縮を対象として実施した再生医療等製品PAL-222の第Ⅰ/Ⅱa相臨床試験(PAMyCA試験)において、主要評価項目を達成し、網脈絡膜萎縮面積の拡大抑制を示すとともに、視機能の維持に繋がる可能性および良好な安全性プロファイルを示すトップライン結果が得られたことをお知らせします。
近視性網脈絡膜萎縮は、病的近視に伴い網膜色素上皮、脈絡膜および視細胞が不可逆的に変性・萎縮する進行性疾患であり、失明・高度視覚障害の主要な原因の一つとされています。一方で、その進行を抑制し視機能を維持または改善するための有効な治療法は現在も確立されておらず、アンメットメディカルニーズの高い疾患です。
本試験は、近視性網脈絡膜萎縮患者を対象としてPAL-222を網膜下へ移植し、その安全性および有効性を探索的に評価することを目的として実施しました。PAL-222は、ヒト(同種)脂肪由来間葉系間質細胞(MSC)を用いた円盤型の再生医療等製品です。PAL-222は層状に配列された細胞と、細胞が自ら産生する細胞外マトリックス(extracellular matrix: ECM)から構成され、ECMを保持した構造を特徴としています。パラクライン作用等を介して、神経細胞保護、組織修復および抗炎症効果等を発揮し、網膜・脈絡膜組織の保護や視機能の維持に寄与することが期待されています。
本試験に登録された11例の全患者においてPAL-222を移植し、52週間の観察期間を通じて評価を実施しました。有効性評価においては、PAL-222を移植した眼を被験眼、移植していない眼を対照眼として比較検討しました。
【主要評価項目:有効性(網脈絡膜萎縮面積の変化)について】
主要評価項目である移植前後での網脈絡膜萎縮面積の変化において、被験眼では対照眼と比較して網脈絡膜萎縮面積拡大が統計学的に有意に抑制され、主要評価項目を達成しました。
網脈絡膜萎縮面積の経時的推移においては、対照眼の萎縮面積は経時的に拡大した一方、被験眼ではその拡大進行がほぼ抑制されました(図1)。
移植後52週における面積比の対数変換値の平均値± 標準偏差は、被験眼で -0.01±0.02、対照眼で 0.12±0.07 でした。
被験眼と対照眼の差の点推定値は -0.13(95%信頼区間: -0.18, -0.08) であり、有意な差が認められました (対応のあるt検定: p<0.001、並べ替え検定: p<0.001)(表1)。
図1.網脈絡膜萎縮面積の経時推移図(変化率)
表1.網脈絡膜萎縮面積の移植前後の変化
移植前後における網脈絡膜萎縮面積 (中央判定) の比 (log)
【副次評価項目:有効性(視機能の維持)について】
副次評価項目である網膜感度及び最高矯正視力については、移植後52週における被験眼と対照眼の間に統計学的な有意差は認められませんでした。
一方、被験眼の網膜感度及び最高矯正視力(LogMAR) は移植後52週まで移植前の水準が概ね維持されており、網脈絡膜萎縮面積の拡大抑制が視機能の維持(病勢の進行抑制) に関連している可能性が示唆されました。
【安全性評価について】
本試験において新たな安全性上の大きな懸念は認められませんでした。
PAL-222に起因すると判断された重篤な有害事象は認められませんでした。
MSC 製品で懸念される移植片拒絶反応、腫瘍形成、異所性組織形成、重篤な免疫学的反応等を示唆する所見も確認されませんでした。
視機能に重大な影響を及ぼす可能性のある重篤な手術関連合併症も認められませんでした。
以上の結果から、PAL-222は、網脈絡膜萎縮の進行を抑制し、視機能の維持につながる可能性が示唆されました。また、細胞保護・組織修復を通じて疾患の進行に働きかける、新たな再生医療の選択肢となる可能性が示されました。
名古屋市立大学病院 安川力教授(本試験 医学専門家)のコメント:
「近視性網脈絡膜萎縮は現在有効な治療法が存在しない重篤な疾患であり、視力低下や中心暗点の拡大が進行する患者に対して十分な治療手段がありません。今回の結果はPAL-222が良好な安全性を有することを確認するとともに、萎縮面積拡大の抑制による視機能維持および組織保護効果の可能性を示すものであり、本疾患に対して視機能低下につながる萎縮拡大という病態の進行そのものに抑制的に作用する新たな治療アプローチとして有望な成果であると考えています」と述べています。
ファーマバイオ株式会社 代表取締役 草野仁のコメント:
「本試験に参加いただいた患者様とご家族の皆様、ならびに治験の実施にご尽力いただいた医療機関および研究者の皆様に心より御礼申し上げます。今回得られた結果は、PAL-222の臨床的可能性を示す重要なマイルストーンであると考えます。そして、近視性網脈絡膜萎縮という有効な治療法が確立されていない疾患領域において、患者様に新たな治療選択肢を提供できる可能性が示されたことを大変意義深く受け止めています。当社は今後、規制当局と承認申請に向けた協議を進めるとともに、一日も早い実用化を目指してまいります。」とコメントしています。
今後の展開について
当社は、本試験により得られたデータを基に、PAL-222の条件及び期限付承認の取得を目指し、今後も開発を着実に推進してまいります。あわせて、国内外における事業展開の可能性や今後の開発戦略についても検討を進めてまいります。また、本試験結果については今後、関連学会での発表および査読付き学術誌への投稿を予定しており、科学的・医学的な観点からも広く発信していく方針です。
PAL-222について
PAL-222は、ヒト(同種)脂肪由来間葉系間質細胞を独自の細胞加工技術により製造した再生医療等製品です。層状に配列された細胞と、細胞が自ら産生する細胞外マトリックス(extracellular matrix: ECM)から構成され、ECMを保持した構造を特徴としています。パラクライン作用等を介して、神経細胞保護、組織修復および抗炎症作用を発揮し、網膜・脈絡膜組織の保護や視機能の維持に寄与することが期待されています。
近視性網脈絡膜萎縮について
近視性網脈絡膜萎縮は、病的近視による眼軸長伸展を背景として網膜色素上皮や脈絡膜の進行性萎縮が生じる疾患です。病変の進行に伴い中心視力が著しく低下し、重症例では失明に至ることがあります。現在、進行した萎縮病変そのものを治療する承認薬や治療法は存在しておらず、世界的に新たな治療法の開発が求められています。
PAMyCA試験について
試験名:近視性網脈絡膜萎縮患者に対するPAL-222の第Ⅰ/Ⅱa相臨床試験
jRCT番号:jRCT2043220105
対象疾患:近視性網脈絡膜萎縮(Myopic Chorioretinal Atrophy)
試験フェーズ:第Ⅰ/Ⅱa相
試験の目的:活動性の脈絡膜新生血管を伴わない近視性網脈絡膜萎縮患者に対し、再生医療等製品であるPAL-222を移植し、その安全性および有効性を探索的に評価する
試験デザイン:非無作為化、非盲検、未治療片眼対照比較試験
被験眼の治療法:経毛様体扁平部硝子体手術によりPAL-222を1シート網膜下腔へ移植する
本試験は、近視性網脈絡膜萎縮に対して網膜下へPAL-222を移植し、萎縮進行の抑制と安全性を評価する再生医療の第Ⅰ/Ⅱa相試験です。主な対象患者の基準は以下のとおりです。
・ 20歳以上
・ 強度近視(−6.0D以上の近視)または-6.0D相当の眼軸長以上
・ 被検眼の矯正文字視力が60文字未満
・ 両眼に近視性網脈絡膜萎縮を有し、被検眼の中心窩近傍に一定以上の萎縮病変が存在する
・ 活動性の脈絡膜新生血管が認められない
・ 主要評価項目は移植手術後52週の網脈絡膜萎縮面積の変化率(%)であり、PAL-222移植後に萎縮病変の進行をどの程度抑制できるかを評価します。
なお、本試験は104週まで観察を継続中で、長期間にわたる安全性データの収集を行っています。
将来に関する記述
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【本件に対するお問い合わせ先】
ファーマバイオ株式会社
神奈川県川崎市川崎区殿町3-25-22 ライフイノベーションセンター
Email:press@pharmabio.co.jp
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