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訓練中に隊員へヒアリングを行う研究チーム
磐田市消防本部×早稲田大学が熱中症リスクに挑む
磐田市消防本部は、熱中症予防・対策研究の国内トップランナーである早稲田大学スポーツ科学学術院の細川由梨准教授率いる研究チーム(Safety and Performance Optimization Laboratory)と連携し、「消防士の実活動を模した訓練中における熱負荷の定量化」と題する共同研究を実施しました。
研究の背景
近年、記録的な猛暑が常態化により、重厚な防火衣や空気呼吸器(総重量約 20kg 以上)を着用して活動する消防隊員の熱中症リスクは年々深刻化しています。磐田市消防本部は、職員の健康と体力の維持・向上を目的とした静岡産業大学等との連携協定に基づき、同協定の参画者である早稲田大学・細川研究チームと共同研究を進めることとなりました。
本研究は、より安全な消防活動・管理体制の基盤となる基礎データの収集・蓄積を目的としています。
火災想定訓練における生体データのリアルタイム計測
8月23日(日)には、指揮隊、消火隊、救助隊など計15 名の隊員が参加し、実際の消防活動を再現した「火災想定訓練」を実施しました。
参加した隊員は、実際の災害時を想定した防火衣などのフル装備を着用した上で、放水活動、救助活動などの一連の火災対応タスクを 30 分間連続して遂行しました。
訓練前の「安静期」から訓練後の「回復期」まで、全てのセッションにおいて「カプセル型体内温度センサー」や「ウェアラブルデバイス」などにより、心拍数や体深部体温などの生体データをリアルタイムで計測しました。活動前後には、尿サンプリングおよび体重測定、複数回のヒアリングを行うことで、意識や身体の変化、疲労度のデータも細かく収集しました。
生体データを測定する機器計測したデータはリアルタイムで記録される訓練中の隊員の状態をモニタリングする研究チーム
分析方法
集められた生体データ(深部体温、皮膚温、心拍数など)は、以下の 3 点に焦点を当てて分析されます。
生体データのリアルタイム分析:過酷な環境が身体に与えるストレスを時間経過とともに数値化。
個人差と環境因子の解析:活動前後の変化を多角的に分析し、体調変化の予兆を捉える。
最適な回復環境づくり:効果的な身体冷却や水分補給、適切な休憩時間などの指標を確立。
全国消防機関の熱中症予防・対策の足がかりに
今回取得した暑熱期データの詳細分析に加え、気象条件が大きく異なる冬季(非暑熱期)にも同様の測定を計画しています。計 2 回の測定データを統合・分析することで、暑熱環境がもたらす科学的なストレス負荷を明確化し、より効率的な身体冷却方法や現場での「活動と休憩」の比率の立案などに活用します。
磐田市消防本部は、この研究から得られる知見を本部内の安全管理体制や教育に反映させるだけでなく、将来的にはこのデータが「全国の消防機関の熱中症予防・対策」に広く役立つことを目指しています。今後も専門的な知見を有する研究機関等との連携を深め、科学的アプローチに基づく現場の安全管理体制を一層充実させることで、市民の皆様の安全・安心を支える安定的かつ持続的な消防力の強化に努めてまいります。
測定の準備をする早稲田大学の研究員研究実施代表者の淺沼さんから説明を受ける隊員
【共同研究 従事者】
細川 由梨 (早稲田大学 スポーツ科学学術院・准教授)
淺沼 富美 (早稲田大学大学院 スポーツ科学研究科・博士課程 1 年/研究実施代表者)
中井 真吾 (静岡産業大学 スポーツ科学部・教授)
大木 学 (国士舘大学 防災・救急救助総合研究所・准教授)
芳川 隼登 (株式会社 Cellence・代表取締役)
中山 理 (さくら健康管理メディカルクリニック・院長)
本件に関するお問い合わせ先
【訓練内容・消防に関すること】
磐田市消防本部[消防総務課 総務企画グループ] TEL:0538-59-1119