新聞正文
京都フュージョニアリング(社長:世古圭、本社:東京都大田区、以下KF)は、米国オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory:ORNL)と共に、増殖ブランケットを実証する世界初の施設「UNITY-3」を建設します。 これに伴い、米国拠点をテネシー州オークリッジへ移転します。 増殖ブランケットは、商用フュージョン発電プラントが自ら燃料を生み出すために不可欠でありながら、フュージョン分野の中でも特に成熟度が低い技術のうちの一つです。
本プロジェクトは、米国エネルギー省(DOE)が新たに策定した「Fusion Science & Technology (FS&T) Roadmap」において国家的優先事項と位置づけられており、テネシー州原子力エネルギー・サプライチェーン投資基金およびDOEの支援のもとで進められます。 京都フュージョニアリング(KF)は、将来のあらゆるフュージョン発電プラントが必要とするフュージョンブランケット技術を実証する世界初の施設「UNITY-3」の建設を進めています。 同施設は、KF・DOE・ORNLが2026年1月に発足させた戦略的パートナーシップをさらに深化させるものです。
これは単一のフュージョンプログラムだけでは実証できなかったことを、業界全体で共有するインフラとして、規模を伴って証明するための取り組みです。 (テネシー州およびオークリッジ国立研究所からも、それぞれ関連リリースが発表されています。 )「フュージョンの商用化は、もはや物理学上の課題にとどまらず、むしろエンジニアリングと技術の課題としての比重を増しています。 テネシーへの進出は、世界最高水準のフュージョン技術力を結集する戦略的な布石です。 日本が数十年にわたり培ってきた専門的なエンジニアリングの伝統と、米国が誇る核技術革新のエコシステムとを掛け合わせることを意味します。
ORNLと共にUNITY-3を実現することで、世界規模で実現可能な商用フュージョン産業を加速させるために不可欠な、共有基盤インフラを確立していきます。 」— 京都フュージョニアリング株式会社 共同創業者 兼 代表取締役会長 小西 哲之UNITY-3のインパクト世界のフュージョン分野には、これまでに120億ドルを超える民間資金が投じられており、この1年間だけでも35億ドル以上が流入しています(Fusion Industry Associationの「2026 Global Fusion Industry Report」より)。 しかし、こうした勢いをもってしても、業界全体を制約する一つのリスクが立ちはだかっています。
それが増殖ブランケットです。 商用の重水素・三重水素(D-T)フュージョン発電プラントは、自ら燃料を増殖できる信頼性の高いブランケットなしには稼働できませんが、ブランケットおよび燃料サイクル技術は、フュージョン分野の中でも成熟度が最も低い部類に位置づけられています。 UNITY-3は、このギャップを埋める一助となります。 加速器方式による大容積D-Tフュージョン中性子源を用い、核的に実機を模したブランケットにおいて中性子スペクトルとトリチウム生成量を計測することで、トリチウム増殖ブランケットの性能を実証します。 同時に、業界がプラント設計の拠り所とするシミュレーションコードの妥当性検証とリスク低減も行います。
これにより、UNITY-3は一社・一方式にとどまらず、フュージョン業界全体を制約するリスクを取り除くことになります。 DOEの「Fusion Science & Technology Roadmap」は、今日の実験と商用フュージョン実証プラント(FPP)との間にある燃料サイクル上のギャップを埋めるために不可欠なインフラとして、「統合された中性子・ブランケットシステム」を挙げています。 UNITY-3は、まさにこの能力を提供するものです。 さらに、DOEが掲げるAI活用科学の広範なビジョンにおいても重要な役割を担います。
UNITY-3が生み出すデータ―これまで一度も取得されたことのない、フュージョン中性子工学およびトリチウム生成に関する高精度な測定データ―は、DOEの「ジェネシス・ミッション」の旗艦的取り組みである「AI-フュージョン・デジタルコンバージェンス・プラットフォーム(DCP)」の中核をなすデジタルツールの学習・ベンチマーク・妥当性検証に不可欠なデータそのものです。 UNITY-3は、実機の試験基盤であると同時に、ジェネシス・ミッションが商用フュージョン発電の実現までの期間短縮を目指して構築する、予測・シミュレーション主導の設計環境を支える基盤データ源としての役割も果たします。
業界全体を支えるイネイブラーとして京都フュージョニアリング(KF)は、フュージョン発電プラントの中核部品であるブランケット・燃料サイクル・付帯設備の開発を専門とする、フュージョンエネルギー業界のイネイブラー(下支え役)です。 多くのフュージョン開発企業は、資本と専門性をプラズマ閉じ込めに集中させており、その結果、物理実験を発電源へと転換するために不可欠なブランケット・燃料サイクル・付帯設備(バランス・オブ・プラント)の開発は相対的に手薄になっています。
これらのシステムを成熟させるための共有インフラや信頼できるパートナーが存在しなければ、各社は単独での垂直統合を余儀なくされ、多くの企業が抱えきれないコスト・スケジュール・技術リスクを背負うことになります。 そしてそれは、業界全体としても失敗を許容できないリスクです。 KFとORNLは、UNITY-3をオープンかつ炉形式を問わないインフラとして構築することで、業界全体がこのリスクを解消できるよう支援し、各開発企業が本来注力すべき領域に専念できるようにします。
業界が直面する最も困難な共通課題の一つを一つの施設に集約することで、UNITY-3は、フュージョン分野に流入する資本をより有効に活用できるようにし、並行して同じ基盤課題を繰り返し解くのではなく、発電プラントの設計そのものを前進させます。 こうした需要は、すでに業界全体で顕在化しています。
General Atomics、OpenStar Technologies、Realta Fusion、Thea Energy、Type One Energy、Xcimer Energyをはじめとするフュージョン分野の主要企業各社は、さまざまな閉じ込め方式・増殖概念にわたって増殖ブランケット技術を実証するための共有インフラとして、UNITY-3への支持を表明しています。 こうした業界横断的な需要こそ、一社のロードマップだけでは満たすことができないものであり、閉じ込め方式を問わない共有インフラは、まさにこの需要に応えるために構築されています。
「トリチウム増殖は、重水素・三重水素(DT)フュージョン反応に取り組むすべての企業が対応しなければならない重要なプロセスです。 この課題に共同で取り組むことには大きな意義があり、私たちは京都フュージョニアリング、ORNL、そしてUNITY-3プロジェクトを強く支持しています。 これは商用フュージョンエネルギーへの重要な一歩であり、フュージョン業界共通の課題を解決する、より多くの共同研究や施設が今後生まれることを期待しています。 」— Realta Fusion CEO 兼 共同創業者 Kieran Furlong「UNITY-3は、私たちのブランケット設計を実証する上で不可欠な、複数の重要な試験能力のうちの一つを提供してくれます。
それは、フュージョンに関連するD-T中性子源を用いて、プロトタイプにおけるトリチウム生成量を測定する能力です。 実機を模した中性子エネルギースペクトルと平面状の線源形状は、非常に代表性の高い試験環境を提供するものであり、東テネシーという立地は、私たちのブランケット設計チームが実験に関与する上でも理想的です。 」— Type One Energy 主任原子力エンジニア Dr. Paul Humrickhouse「Thea Energyは、UNITY-3が国内のフュージョン試験インフラに加わることを歓迎します。
高エネルギーのフュージョン中性子の下でブランケット部品を試験できる能力は、あらゆる重水素・三重水素発電プラントのアーキテクチャが、より高い確度をもってプラント規模へと進むことを可能にします。 この施設は、Thea Energy自身のフュージョンブランケット・材料開発プログラムを補完するものでもあります。 」— Thea Energy 共同創業者 兼 CEO Brian Berzin「オークリッジ国立研究所は、80年以上にわたり核科学分野で米国をリードしてきましたが、フュージョンはその伝統の重要な一部です。
京都フュージョニアリングが持つフュージョン技術・統合システムにおける深い専門性と、ORNLが強みとする中性子科学、材料科学、先端製造、そして計算科学とを組み合わせることで、米国はフュージョンにおける最も困難な問いの一つ―実際の核環境下で増殖ブランケットがどのように機能するか―に答える場を持つことになります。 UNITY-3のパートナーとなり、フュージョンコミュニティ全体が拠り所とする共有インフラの構築を支援できることを誇りに思います。
」—オークリッジ国立研究所 所長 Dr. Stephen Streiffer「オークリッジは、何世代にもわたり核時代を築いてきた困難な仕事に取り組んできた土地であり、次世代エネルギーの新章を刻むには最適の場所です。 今日、あらゆる商用フュージョン発電プラントの設計は機能する増殖ブランケットを前提としていますが、業界全体は実世界での試験インフラが皆無であるという制約を受け続けてきました。 UNITY-3は、この業界全体を縛るリスクを解消します。 ORNLと共に、閉じ込め方式を問わないオープンな試験基盤を構築することで、開発各社が単独で膨大な垂直統合コストを負う事態を防ぎます。
私たちが東テネシーにやって来たのは、同盟国によるフュージョンサプライチェーンの物理的な拠点を築くためです。 ここで製造し、ここで雇用し、この共通の課題を共に解決していきます。 」—Kyoto Fusioneering America プレジデント Bibake Uppal米国本社のオークリッジ移転今回の移転およびプロジェクトは、テネシー州経済・地域開発局(TNECD)の「原子力エネルギー・サプライチェーン投資基金」の支援を受けています。 KFが東テネシーを選んだ理由は、同地域が米国における核エネルギー再興の全国的な拠点となってきた理由と同じです。
ORNLを中心に核分野の専門性が最も集積している地域の一つであること、深く成長を続けるサプライチェーン、高い技能を持つ技術系人材、投資を後押しするビジネス環境、そして長い核の伝統とこの技術への強い地域社会の支持です。 すでに核産業全体が根を下ろす地域に拠点を置くことで、KFは数十年かけて築かれてきた人材・サプライチェーン・インフラを活用しながら、この地域を自社のグローバルネットワークへとつなげていきます。 この投資はまた、日本が数十年をかけて培ってきた世界最先端のフュージョン・エンジニアリングを、東テネシーへ直接もたらすものでもあります。
増殖ブランケット、トリチウム燃料サイクル、プラズマ加熱システムに関する基盤的な専門性を有する、日本最大かつ最先端のフュージョン企業として、KFはオークリッジに拠点を構え、現地に根ざした同盟国型サプライチェーンを構築していきます。 ハードウェア、部品、エンジニアリングサービスの供給を担いながら、業界が今後の拡大に必要とする専門的なフュージョン人材の育成にも力を注いでいきます。 「本日のKFの発表は、次世代の安全で信頼性の高いエネルギーを実現する上での、テネシー州のリーダーシップをさらに確固たるものにします。
ORNLとの連携とオークリッジへの拠点設立により、同社は成長とイノベーションを加速させると同時に、本州の核エネルギー・エコシステムを一層強化する立場にあります。 この連携は、テネシー州民が最先端の役割に踏み出し、先進エネルギーの未来を形作る新たな機会を生み出すものです。 」—テネシー州知事 Bill Lee「本プロジェクトは、私たちの二つの最重要課題―核イノベーションと対内直接投資―を結びつけるものです。 テネシー州の先進エネルギー分野におけるリーダーシップと、日本の長年にわたる支援を組み合わせることで、新たな機会と成長の勢いを生み出しており、この連携の新たな一章としてKFを迎えられることを誇りに思います。
」—副知事 兼 TNECD長官 Stuart C. McWhorter「TVAは、テネシー・バレー全域で質の高い雇用を創出し、画期的な研究を推進するプロジェクトを支援できることを光栄に思います。 オークリッジにおけるKFの大規模な投資は、科学・エネルギーイノベーションにおける同バレーのリーダーシップをさらに後押しするものであり、米国のエネルギーを解き放つべく共に歩むパートナーシップの強さを体現しています。 」— TVA 経済開発担当バイスプレジデント Heidi Smith「オークリッジ・コリドーは、世界を変えるエネルギー技術がアイデアから現実へと歩みを進めてきた場所です。
京都フュージョニアリングがこの地を選んだことは、研究・産業・人材という、この地域ならではの比類なきエコシステムの強さを物語っています。 ETECは、こうした成長を可能にするパートナーシップの構築を支援できることを誇りに思うとともに、京都フュージョニアリングがテネシー州のエネルギーストーリーの一部となっていく歩みを後押ししていきます。 」— East Tennessee Economic Council 会長 兼 CEO Tracy BoatnerUNITYプログラムについてUNITY-3は、段階的にリスクを低減していく一連のプログラムのうち、核技術に関わる要素を担うものです。
KFの「UNITY™(Unique Integrated Testing Facility)プログラム」は、ブランケットおよび燃料サイクルという課題に対し、要素分離試験(separate-effects testing)を通じて取り組んでいます。 すなわち、統合ブランケット・燃料サイクル試験施設(IB-FCTF)やFPPなどで統合される前段階として、それぞれ異なる種類の物理現象を、目的別に設計された施設ごとに切り分けて検証するというアプローチです。 UNITY-1(京都・久御山町にて稼働中):液体金属増殖ブランケットの非核的な挙動―熱流体力学、磁気流体力学的効果、水素同位体抽出、材料適合性、高温熱抽出、および発電―を解明します。
UNITY-2(カナダ・オンタリオ州にて開発中):カナダ原子力研究所とのジョイントベンチャーであるFusion Fuel Cyclesを通じて、発電プラント相当の条件下で、世界初となる連続的かつエンドツーエンドのD-T燃料サイクルを実証します。 UNITY-3:実際のフュージョン中性子環境下でしか計測できない、中性子工学、トリチウム生成の実証、そして変換効果という、フュージョンエネルギーにおける核的側面を新たに加えるものです。 それぞれの施設が異なる種類のリスクを解消し、全体としてブランケット・燃料サイクルシステムを実証するとともに、本格的な統合の前に必要となるデータと構成要素を提供します。
プログラム全体を通じて、KFは米国国立研究所群と連携しており、UNITY-1についてはアイダホ国立研究所、UNITY-2についてはサバンナリバー国立研究所、そしてUNITY-3についてはオークリッジ国立研究所と、それぞれ継続的な協業を進めています。 ■京都フュージョニアリングについて京都フュージョニアリングは、2019年設立の日本発のフュージョンエネルギープラントエンジニアリング企業です。 英国、米国、ドイツなど海外にもグループ拠点を展開し、国内外の研究機関や企業と連携しながら、フュージョンエネルギーの社会実装に向けた技術開発を進めています。
同社は、プラズマ加熱に用いるジャイロトロンシステム、熱とトリチウムを取り出すブランケット技術、熱サイクル・燃料サイクルシステムなど、フュージョンエネルギープラントの実現に不可欠な主要装置・システムの研究開発とエンジニアリングを手掛けています。 ■オークリッジ国立研究所についてオークリッジ国立研究所は、米国エネルギー省傘下で最大規模を誇る複合科学技術研究所であり、フュージョン・核科学、中性子科学、材料研究、先端製造、スーパーコンピューティングの各分野で長年にわたりリーダーシップを発揮してきました。
ORNLはUT-Battelleにより、米国における物理科学分野の基礎研究を支える最大の機関であるDOEサイエンスオフィスのために運営されています。 詳細はenergy.gov/scienceをご覧ください。 ■テネシー州経済・地域開発局(TNECD)についてTNECDは、雇用創出と地域開発を通じた経済成長を推進する、テネシー州の中心的な機関です。 新規の企業投資誘致と既存事業の成長支援を通じて、テネシー州の競争力強化に取り組んでいます。 また、州内各地の地域社会に助成を提供することで、企業が発展できる活気ある事業環境の構築を後押しし、すべてのテネシー州民にとっての経済的繁栄の拡大を目指しています。
詳細はtnecd.comをご覧ください。 Twitter、Instagram、LinkedIn、Facebook、YouTubeでも情報を発信しています。 UNITY-3完成予想図。 京都フュージョニアリングとオークリッジ国立研究所が共同で建設する、世界初の増殖ブランケット試験施設。 ORNLにて撮影された、オークリッジ国立研究所(ORNL)と京都フュージョニアリングの経営陣。
左から: Shaun Gleason (ORNL)、Joe Hoagland (ORNL)、Arnie Lumsdaine (ORNL)、Christian Day (KF)、Colin Baus (KF)、小西 (KF)、Bibake Uppal (KF)、Stephen Streiffer (ORNL)、今井 (KF)