リーガルテック株式会社(東京都港区、代表取締役社長:平井 智之)は、塗料・インキメーカーの研究開発部門および知財部門を対象に、「配合・処方整理ワークフロー」の提供を開始した。 本ワークフローは、同社のAIデータプラットフォーム「IPGenius」導入企業向けに提供するものであり、塗料・インキ業界特有の複雑な処方構成データや実施例・比較例の整理、先行技術調査・FTO調査前の情報整理、および発明抽出準備における実務負荷の軽減を支援することを目的としている。 ■ 背景:塗料・インキ業界における知財・研究開発業務の構造的課題 塗料・インキメーカーの研究開発現場では、顔料・樹脂・溶剤・添加剤といった複数成分の組み合わせによる処方開発が日常的に行われている。一つの製品開発プロジェクトにおいても、数十から数百に及ぶ処方バリエーションが検討され、その記録は研究ノート、実験レポート、配合検討シート、品質評価データなど多岐にわたる形式で社内に散在している。 こうした処方データは、担当研究者ごとに管理方法が異なるケースが多く、部門横断での情報共有が難しい状況にある。特に、顔料の商品名・略称・メーカー固有の呼称が混在しているため、過去の検討事例を検索する際に呼称の揺れによる検索漏れが発生しやすい。「以前に類似の処方を検討したはずだが、どの資料に記録されているかわからない」という状況は、塗料・インキ業界の研究開発現場で広く見られる課題である。 知財部門においても、処方に関連する特許明細書の実施例・比較例は、配合比率・評価条件・試験方法が複雑に絡み合っており、先行技術調査やFTO調査の前処理として必要な情報整理に相当の工数を要する。調査対象となる技術要素の抽出や検索語の設定が担当者の経験に依存しやすく、調査品質のばらつきが生じやすい構造的な課題がある。 さらに、塗料・インキ業界では製品ライフサイクルが長く、過去の処方開発履歴や知財判断の経緯が長期にわたって蓄積される一方、担当者の異動や退職によって暗黙知が失われるリスクが高い。研究テーマの引継ぎ時に過去の検討経緯を再構築するための工数は、現場の大きな負担となっている。 こうした課題に対応するため、リーガルテック株式会社は塗料・インキメーカーの実務フローに即した「配合・処方整理ワークフロー」を整備し、IPGenius導入企業向けに提供を開始した。 ■ 配合・処方整理ワークフローの主な内容 項目 内容 処方抽出 実施例・比較例から評価対象となった配合・処方を抽出・一覧化 成分整理 顔料・樹脂・溶剤・添加剤の商品名・略称・化学名・上位概念を整理 条件整理 塗布条件・乾燥条件・分散条件・評価試験条件を体系的に整理 検索語生成 先行技術調査・FTO調査に向けた技術要素別の検索語候補を整理 比較整理 自社処方と他社特許の実施例との比較軸を整理 発明候補整理 処方上の技術課題・解決手段・効果の観点から発明候補を整理 ナレッジ化 処方検討履歴・判断経緯を再利用可能な形式で保存・蓄積 ■ 対象資料例 資料種別 内容 特許明細書 処方実施例・比較例・評価結果 研究ノート 処方検討履歴・配合変更記録 実験データ 分散性・密着性・耐候性等の評価結果 配合検討シート 処方バリエーション一覧 発明提案書 発明内容・技術課題の整理 FTO資料 調査前の構成要素整理メモ 調査報告書 過去の先行技術調査・FTO調査記録 品質データ 色差・光沢・耐薬品性等の試験結果 技術報告書 処方開発の技術検討履歴 ■ 想定利用シーン ・先行技術調査前の処方情報整理:新規処方の特許出願前に、実施例・比較例から技術要素を整理し、調査観点を明確化する ・FTO調査前の構成要素整理:他社特許の権利範囲確認に向けて、自社処方の構成要素と評価条件を整理する ・処方変更時の権利確認準備:原材料変更・配合比率変更の際に、関連する過去の知財判断経緯を参照する ・発明提案書作成前の整理:処方開発の成果から技術課題・解決手段・効果の三点を整理し、発明候補を明確化する ・過去処方の再利用・横断検索:類似処方の過去検討事例を部門横断で参照し、研究の重複や再現ミスを防ぐ ・研究テーマの引継ぎ支援:担当者異動時に、処方検討の経緯・判断理由・未解決課題を整理して後任へ引き継ぐ ・競合技術の処方分析:競合他社の特許明細書における処方実施例を整理し、技術動向の把握に活用する ・品質不具合の原因分析支援:過去の処方変更履歴・評価データを横断的に参照し、不具合原因の調査を支援する ■ IPGeniusによる支援 本ワークフローの運用基盤として、リーガルテック株式会社のAIデータプラットフォーム「IPGenius」が活用される。 IPGeniusは、社内に散在する研究ノート・実験データ・特許明