2027年度から始まる第10期介護保険制度の所管である 厚生労働省関係者を講師にお招きし、 介護保険事業者が抑えるべきポイントと知っておくべき制度を解説して頂くため、 「今こそ、介護事業者が知るべき介護保険制度とは 」と題し、 市民協会員および市民協友誼団体(介護系NPO他)を対象として、 市民福祉団体全国協議会2026年総会記念講演を開催しました。 「今こそ、介護事業者が知るべき介護保険制度とは 」 と題して、 厚生労働省 老健局 介護保険計画課長 西澤 栄晃氏 にご登壇いただきました。 以下に、当日の講演内容の要点をご報告いたします。 ■ 介護保険を取り巻く現状と今後の課題 高齢化と地域差の二極化:今後は特に85歳以上の人口が急増し、1人当たりの介護給付費も指数関数的に増加していく見込みです。また、2050年に向けて高齢者が増え続ける都市部がある一方で、中山間地域等では人口が半減していくという地域差(二極化)の構造があり、地域ごとのサービス基盤整備が必要になります。 ■ 社会福祉法等の一部改正のポイント 特定地域サービス事業の創設:人口減少が著しい中山間地域等においてサービスを維持するため、人員基準の緩和や包括報酬(月額定額など)を導入できる特例サービスを創設します。 介護予防の拠点事業化:維持が難しくなっている「通いの場」について、子どもや障害分野の支援なども含めた多機能な拠点とし、必要な費用を介護予防事業費から支出可能にする方針です。 身寄りのない高齢者支援:身寄りのない高齢者の日常支援や死後事務などを「第二種社会福祉事業」に位置づけ、地域包括支援センターの役割を法律上明確化して関係機関との連携を進めます。 有料老人ホームの規制強化:「囲い込み」問題への対策として、住宅型有料老人ホームに「登録制」を導入し、ケアマネジメントの独立性を担保する新たな相談支援事業を創設します。 ケアマネジャー研修の見直し:負担軽減と離職防止のため、法定研修の未受講による資格更新不可(失効)を廃止し、オンラインや分割での受講を可能にします。 ■ 第10期計画の策定と次期報酬改定に向けて 自治体の役割明確化:各自治体が策定する第10期計画では、2040年を見据えた中長期的なサービス見込み量と対策の記載が義務化されます。 次期介護報酬改定:特例的に令和8年度(2026年度)に本格改定を実施する予定であり、物価や賃金の上昇への対応については、年末までに一定の結論を出して次期の保険料に反映していく方針です。 ■ 質疑応答での意見交換 講演後の質疑応答では、全国の事業者から活発な意見が出されました。 特定施設の総量規制について:住宅型に重度者が多い実態を踏まえ、特定施設の必要性を計画に反映するよう国から自治体へメッセージを出していくと言及されました。 要介護1・2の生活援助の総合事業移行について:移行してもすぐに担い手が増えたり給付費が下がるわけではないため、今回は見送られました。しかし、今後の保険料上昇を見据えると、給付範囲の検討は引き続き避けられない課題であるとの認識が示されました。 最後に、参加者から、市民協が長年行ってきた民間による支え合い事業が、今回の「第二種社会福祉事業」として認められる道を切り開いていきたいという決意が語られ、講演会は盛況のうちに終了しました。 民間介護事業推進委員会でもお世話になっている 厚生労働省 老健局 の皆様には、 毎年総会記念講演に登壇頂き、この度も貴重なお話をと提案の機会を頂きました。 今後とも市民協をよろしくお願い致します。