#1 背景 2020年における世界の子宮頸がん患者数は60万4,127人に達し、そのうち34万1,831人が死亡したと推定されています。 また、毎年約3億人がヒトパピローマウイルス(HPV)に感染すると予測されています。 日本国内においても、上皮内がんを含めた子宮頸がんの年間罹患者数は2万9,136人(2019年)に上り、そのうち6,818人(2021年)が死亡しています。 現在の傾向が続いた場合、今後50年間で世界において約4,400万人の子宮頸がん患者が新たに発生すると見込まれています。 HPVを排除することができれば、子宮頸がんをはじめとするHPV関連疾患の予防および治療に大きく貢献できると考えられます。 現在、子宮頸部高度異形成および上皮内がんに対する標準的な治療として、円錐切除術や単純子宮全摘出術が広く実施されています。 しかし、円錐切除術には術後の妊孕性低下や流産・早産のリスクがあり、単純子宮全摘出術では妊孕性が失われます。 これらの課題は、患者個人のQOLに影響を及ぼすだけでなく、少子化対策の観点からも重要な社会的課題となっています。 さらに、がんは患者本人のみならず、その家族や社会全体にも大きな負担をもたらす疾患です。 産婦人科医療の領域にとどまらず、国全体として取り組むべき重要な課題であると考えられます。 #2 目的 子宮頸がんの主な原因であるヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)を排除し、感染を未然に防ぐことで、子宮頸部高度異形成をはじめとするHPV関連疾患の改善および予防に貢献することを目的として研究を進めてきました。 この課題の解決を目指し、37年にわたり研究を継続してきました。 特に、患者の身体的負担や妊孕性への影響を可能な限り低減できる、保存的かつ持続可能(sustainable)な治療・予防法の確立を目指しています。 また、本研究は長年にわたる研究活動の集大成として位置付けており、次世代の医療への貢献を目指しています。 しかしながら、特許制度の本来の目的は、発明に対して一定期間の独占的権利を認める代わりに、その内容を公開し、産業および医療の発展に役立てることにあります。 その趣旨を踏まえると、私自身、その発明を十分に社会へ還元し、医療の発展に寄与できていないことに対して、忸怩たる思いを抱いております。 #3コメント HPV感染は子宮頸がん発症の主要な原因とされていますが、HPVに感染したすべての人が必ずしもがんを発症するわけではありません。 がん化には複数の要因が関与しており、その進行を回避するためには大きく二つのアプローチ(SIR-Method)が考えられます。 第一は、原因となるHPVそのものを排除することです。 本研究では、HPV排除率84.6%という結果が得られました。 第二は、HPVが残存している場合でも、病変の進行を抑制し、軽快へ導くことです。 本研究では、HPVが残っていた15%の方で、異常と判定されていた細胞診の98.7%が正常化していました。 このように、HPVの排除、あるいは病変進行の抑制のいずれか、または両方が達成されることで、子宮頸がんへの進展を回避できる可能性が示唆されました。 本研究では、SIR-Method(Scrape off and Inflammatory Reaction Method)に基づくアプローチを検討しました。 通常、HPV感染部位では十分な免疫反応が誘導されにくいことが知られています。 そこで、感染部位を擦過(scrape)することにより、HPVの自然退縮に重要と考えられる抗原曝露および局所炎症反応を誘導し、病変の改善につなげることができるのではないかとの仮説を立て、研究を進めてきました。 #4クリニック情報 〒156-00052 東京都世田谷区経堂2-17-1 医療法人社団十進会 波平レディスクリニック TEL:03-5477-0236 FAX:03-5477-0327 URL:https://ten-namihiralc.com (1)インド特許:特許510906号(令和2年12月24日) (2)国内特許:特許第6836047号(令和3年2月9日) (3)中国特許:特許第CN306393309S(令和3年3月19日) (4)東京都中小企業外国特許出願費用助成金交付決定 3東中事知第542号(令和3年10月11日)